雨水貯留槽から防衛関連まで
提案モデルで価格競争回避
同社が製造・販売するのは「コンクリート二次製品」。コンクリート二次製品とは、あらかじめ工場で成形して現場に搬入するコンクリート製品のこと。『プレキャストコンクリート』とも呼ばれ、現場での生コンクリート打ちが不要で工期を大幅に短縮できる。人手不足が進む中、世界的にもコンクリート二次製品の利用が拡大しつつある。
同社は「コンクリート事業」「パイル事業」「防災事業」「その他」の4つのセグメントで事業を展開。調査や劣化診断、製品開発、設計、製造、施工、メンテナンスまで一気通貫で提供する。直径3メートルもの巨石を受け止められる防護柵や、豪雨洪水を防ぐために流量を調節するバルブなど、独自の高付加価値製品群を持つ。
2023年3月期の売上高は390億9500万円(前期比4・2%増)、営業利益は55億6000万円(同9・5%減)となった。
売上の4分の3を占める「コンクリート事業」では、組立式マンホール、ボックスカルバート、豪雨災害を防ぐ地下式雨水貯留槽などを展開する。国内のマンホールのうち約3割は同社の製品で、ボックスカルバートでは国内首位。現在工事中の大阪万博開催地の地下水路にも同社の製品が使われている。
「パイル事業」では土木、建築分野で基礎杭として使用されるコンクリートパイルを製造・販売。「防災事業」では落石・土砂崩れ防護のためのループフェンスやロックバリアを手がける。
コンクリート二次製品を製造する国内企業の中で同社の売上高は4位。しかし営業利益率は14%と首位だ。独自の提案型ビジネスモデルで、価格競争に陥らず高い利益率を確保してきた。
「当社でしか実現できない複雑な製品や施工を、事業の発注者である自治体に直接提案していく。製品が採用されれば施工も行います。汎用品ではなく発注者採用の指定製品ですから、プロジェクト全体の工事を請け負うゼネコンに対しても、価格交渉力が強いのが特徴です」(土屋明秀社長)
また、同社は従来から防衛関連事業に深く携わってきた。最近では、同社が所属する研究会が提案したプレキャストの火薬庫の技術が採用され、築造した。さらに23年7月には、防衛施設学会より避難施設を設計する際のガイドラインが発刊されたが、同社もその策定に携わったという。
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