スマホなど高品質めっきに特化
薬品の「レシピ開発」が本業
同社は貴金属めっきに使用する薬品を開発・製造・販売している。貴金属めっきは時計やアクセサリーなどにも使われるが、同社は「電子部品接点用めっき」を対象に選択と集中を図り、事業を展開している。そのシェアは世界トップクラスを誇る。
あらゆる電子機器に内蔵されているプリント基板やコネクタ、リードフレーム(半導体チップと外部の機器とを接続する部品)などには、貴金属めっきが不可欠だ。部品に金やパラジウムなどの貴金属めっきを施すことで、接点を保護すると同時に電気伝導性を上げることができる。
同社の提供するめっき薬品は性能が高いことから、20万円近くする米国製ハイエンドスマホを始め、国内外の高性能な製品を中心に採用されている。また生成AIを扱うサーバなど、膨大な情報の高速処理が求められる機器にも不可欠となっている。
「当社のめっき薬品の特徴は、ち密ですき間や穴のない貴金属皮膜を作れることです。その背景には、貴金属の結晶の成長や形を制御できる高い技術があるのです」(小島智敬社長)
顧客は国内外のめっき専業メーカー、電子部品メーカー、総合電機メーカーなど。ユーザー企業は同社が開発した薬品を使用し、自社製品の部品に貴金属めっきを施す。
同社では注文を受けると、流通している何千種類もの化学物質から最適な成分や配合を探索し、ユーザー企業の製品や加工時の温度などの環境に合わせためっき薬品のレシピを開発する。いわば調剤薬局が患者の症状に合わせて薬を調合するようなものだ。これを実現できるのは、同社の特長の1つである「ファブライト」体制であることが大きく関わる。必要な化学薬品や貴金属化合物を調達後、貴金属めっき薬品のレシピを社内で開発。その後の製造工程は外部に委託することで多品種少量生産を可能とする。
また、少数精鋭であることも特長だ。数人の技術者によって設立された同社は、現在でも社員数は49人(2024年3月現在)と少なく、そのほとんどが技術系。拠点も1カ所のみというコンパクトな体制のため、スピーディーな意志決定や顧客対応が可能となっている。
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