電子計測機器商社の国内トップ 日本電計 【9908・スタンダード市場】

ビジネスモデル転換で業績過去最高更新中
事業領域拡大で「テクニカル商社」へ転身

日本電計は、電子計測機器の販売で国内首位の独立系専門商社だ。2024年3月期の連結業績は過去最高を更新し、3期連続で増収増益となった。同社は、16年頃からビジネスモデルの転換に着手。成長事業領域を中心に、付加価値の高いサービスを提供し利益率を押し上げている。新中期経営計画では「テクニカル商社への転身」へ向け、7つの事業領域を進化させながら、コアビジネス拡大やグローバル展開を推進する。
日本電計-森田 幸哉

森田 幸哉(もりた ゆきや)

社長

1963年9月生まれ、愛知県出身。87年立命館大学経営学部卒業、日本電計入社。2011年執行役員国内営業本部付。13年取締役海外営業本部副本部長アセアン・その他エリア担当。17年常務取締役国内営業本部長甲信越エリア、事業推進部、営業支援部門担当。18年専務取締役国内営業本部長事業推進部、営業支援部門担当。20年専務取締役国内営業本部長営業支援部門担当。22年代表取締役社長就任(現任)。

5000社の仕入先と
国内1・3万社の顧客基盤

同社は、電子計測機器の販売及び、修理などのメンテナンスを行う独立系の専門商社だ。取扱製品は、売上の4割以上を占める電子計測機器をはじめ、理化学機器、製造・加工・検査装置、環境・評価・試験装置など数万点に及ぶ。独立系の強みを生かし、メーカー系列を越えた幅広い商品ラインナップが強みだ。

同社の優位性は、国内外約5000社の仕入先と国内約1万3000社、海外約1万社の顧客基盤を有していること。創業から70年以上の歴史の中で仕入先との密接な関係を構築し、様々な分野の顧客の要望に沿った製品提供や、潜在的ニーズを捉えた提案を可能にしている。分野別売上比率は、自動車関連と産業機器がそれぞれ2割弱を占め、その後に半導体関連、電子部品、通信機器、文教・官公庁向けが続く(下グラフ参照)。

同社がメーカーから販売を委託される理由の1つは、製品の即納性だ。自社の商品センターに常時1600アイテムの在庫を保有し、注文からの即納体制を整えている。もう1つは、業界の幅広い最新情報をメーカーにフィードバックできることだ。顧客との長年の付き合いから相談の間口が広く、国内外の顧客の最新動向や最新の企画や商材、ソリューションニーズなどの情報を多岐に保有している。

日本電気計測器工業会によると、同社が取り扱う分野の電気計測機器の市場規模は、2023年度見込みで1456億円。そのうち同社は業界トップの約25%のシェアを占める。同会によると、23~27年度の市場規模は平均成長率2%増と、今後も引き続き安定的な成長が期待される。

「電子計測機器は、技術やテクノロジーの進化に合わせてニーズが変化します。例えば通信は今5Gが安定しつつありますが、6Gになると各通信キャリア会社で新しい計測器が必要になります。そうした技術革新が起こると当該技術を測定・検証するための関連製品のニーズは一気に高まり、販売拡大のチャンスになります」(森田幸哉社長)

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