参入障壁の高い
イオンチャネル創薬に強み
創薬ベンチャーのラクオリア創薬は、新薬の種となる化合物を創出し、技術・特許を医薬品メーカーに導出(ライセンスアウト)することで収益を上げている。主な収入源は①導出時の契約一時金、②導出先での開発の進展に応じたマイルストン収入、③新薬売上に応じたロイヤルティ収入、④研究機関や製薬会社との共同研究による協力金の4つだ(下図参照)。
通常新薬開発は、基礎研究、非臨床試験、臨床試験のフェーズⅠ・Ⅱ・Ⅲ、承認申請・審査というプロセスを9~16年かけて辿る。
ラクオリア創薬は、シーズ(種)創出から主に臨床試験フェーズⅡまでを手掛ける「パイプライン型」創薬ベンチャーだ。
大手製薬会社内でも基礎研究などは行っているものの、承認までの時間やコスト・リスクを考えると、創薬ベンチャーから導出されるメリットは大きい。現在、国内・海外ともに新薬のうち6割はベンチャー発の化合物から誕生していると言われる。
「導出先からすれば、新薬の種を自社内のみで作り出すのは効率が低く、導入時に残りの臨床試験が少ない程リスクが減るので、そこに当社のバリューがあります。我々が手掛けるのは、大手が真っ先に手をつけない分野。ニーズはあるものの大手からすればマーケットが小さかったり、得意領域から外れていたり、あるいは最先端の発見からの創薬などです」(武内博文社長)
2021年のノーベル生理学・医学賞はともにイオンチャネルに関するものになったが、同社の強みはそのイオンチャネル創薬(神経障害性疼痛治療薬)にある。イオンチャネルとは、細胞の内外へイオンを通過させる膜タンパク質のこと。さまざまな生理現象にイオンチャネルが関与しているため、その制御により幅広い疾患を治療できる可能性を秘める。しかし同分野の創薬は難易度が高く、参入障壁が高い。そんな中、同社は同分野で5つの開発候補化合物を創生し、全てでライセンス契約を締結。イオンチャネルにおける先行企業であり、国内トップの実績を誇る。
「神経の活動を細胞レベルで評価するための創薬インフラを持っている会社は少ない。古くから同分野にチャレンジしてきた実績・ノウハウに加え、インフラの充実度も創薬における強みとなっています」(同氏)
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