情報セキュリティ「認証」の草分け ソリトンシステムズ 【3040・プライム市場】

トレンド見極め、国内首位製品を次々と開発
技術力強みに自動運転など新機軸の育成進める

情報セキュリティ分野の中で「認証」技術に強みを持つソリトンシステムズ。時代を先取りした自社製品開発で、ITセキュリティが話題になる前から認証製品を展開してきた。同分野の創成期からシェアを獲得し、約20年も国内首位を堅持する。認証分野は今後も安定成長が見込まれるが、近年は成長力の高い他分野育成も加速。官公庁向けセキュリティサービスや自動運転に使われる遠隔操縦システムなど、複数の次期主力製品を開発している。「認証のソリトン」だけではない新機軸の創生に挑む、鎌田理社長に話を聞いた。
ソリトンシステムズ-鎌田 理

鎌田 理(かまた おさむ)

社長

1970年5月生まれ、東京都出身。94年慶応大学経済学部卒業、日本オラクル入社。2019年ソリトンシステムズ取締役。24年1月代表取締役社長就任(現任)。

セキュリティの最初の砦「認証」
圧倒的トップシェア製品擁する

情報セキュリティ分野の「認証」とは、PCやスマホからシステムにアクセスする際、ユーザーやその機器が適切なアクセス権を持つ人か否かを確認するプロセスのこと。不正侵入から企業のネットワークを守る際の最初の防御壁となるため「情報セキュリティの一丁目一番地」(鎌田理社長)ととらえている。こうした認証分野で、複数の圧倒的シェアトップ製品を持つのがソリトンシステムズだ。

同社は民間企業や官公庁などの幅広い顧客に対し、認証を中心とした情報セキュリティ製品を提供してきた。民間では社員数1000人以上の大企業のうち、4割が同社製品を導入。官公庁では、1700ある役所のうち、東京23区と政令指定都市全20市も含む約800が導入している。

2023年12月期業績は、売上高は190億5800万円、営業利益は26億800万円(営業利益率は13・7%)。売上高をセグメント別でみると、9割以上を稼ぐ主力がITセキュリティ事業である。ここでは、前述の認証分野を中心としたITセキュリティ製品を多数持つ。

最も売上が大きい製品は、RADIUS認証を行う「NetAttest(ネットアテスト)」シリーズだ。

「例えば社員が出社し、PCを使ってインターネットにアクセスしたとします。社員は気づいていないと思いますが、その瞬間に『この端末とユーザーはネット利用を許可できる人なのか?』を確認するプロセスが動いています。この認証を行うのが、ネットアテストシリーズです」(同氏)

ネットアテストシリーズは、国内で初めてアプライアンス(専用機器)として発売されたRADIUS認証製品。強固な認証を実現するデジタル証明書の発行や運用機能に秀でており、国内シェアは18年連続で首位。これまで3万3000台以上を出荷するロングセラー商品である。

もうひとつの主力商品は、端末認証を行う「SmartOn(スマートオン)」シリーズだ。こちらは、PCなどにログインする際にID・パスワード入力に加えて、顔認証や指紋認証、ICカード読み取りといった多要素認証を行うシステム。金融機関や医療機関、自治体、中央省庁といった機密性の高い業種で導入される。スマートオンも端末認証分野での草分け的製品で、国内シェアは20年間連続1位を堅持する。

「RADIUS認証の国内市場規模は約70億~80億円、端末認証は約40億円といわれており、当社はRADIUSでシェア5割、端末で同5割を占めます。どちらも巨大市場とは言えませんが、年に数%成長は見込める安定市場。当社の基盤となっています」(同氏)

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