「本業の立て直し」と
「新規事業」で経営基盤強化へ
同社は創業者である渡辺正治氏が戦後、百貨店の店内装飾を東京・上野で手掛けたことからスタートし、1970年万国博覧会(大阪)のパビリオンづくりで躍進した。現在は空間づくりにおける調査・企画からデザイン・設計、制作・施工、運営、メンテナンスまでを一貫して手掛けている。業績は2020年1月期に過去最高営業利益・経常利益を更新以来、コロナ禍で下落。同社はこれまでバブル崩壊後、リーマンショック時と2回リストラを行ったが、コロナ禍では23年1月期に営業利益率1%に落ち込むもリストラ、赤字は回避した。
「ディスプレイ業界は景気に左右されやすく、当社も過去に人員整理をしたこともあります。しかし人的資本は重要だと認識しているので、採用計画を含めそのような事態にはならないようにしています」(小林統社長)
24年1月期の連結業績予想は売上高が前期比18・3%増の760億円、営業利益は同386・4%増の30億円を見込む。
今年4月就任の5代目社長小林氏は、同社で初めて営業畑から社長になった人物だ。
同氏はこれまで、専門店や大型商業施設、テーマパーク等のエンターテインメント施設や企業プロモーション施設等のプロジェクトマネジメントを担当。そのほか、万博などの大型プロジェクトにも携わり、幅広い分野での経験を積んできた。
「コロナ禍に苦しんだ3年間ですが、これからは上り調子にしなくてはならない。コロナ禍以降回復していく需要を取り込みたい。今後は本業である空間づくりを強化しつつ、景気に影響を受けにくい事業盤づくりを進めていきます」(同氏)
大きな方針は「本業の立て直し」と「新規事業」がある。「本業の立て直しで重視するのは、お客様とのパートナーシップ強化。毎年営業と別ルートでお客様にアンケートを実施しています。技術やデザイン、施工など専門的な内容や、営業担当者には言いづらいことも深堀りしてヒアリングできるようにしました。回答を基にスタッフィングを変えて対応するなど顧客満足度を高めています」(同氏)
またデジタル投資も積極化し、BIM(ビム)と言う設計初期段階から設計図や各種データ、シミュレーションが一本化できるシステムを推進。
「BIMは本業を強くしていくために重要な施策で、これまで以上の効率化・効果的な空間マネジメントが可能となります。空間演出上のデジタル技術に特化したCMIセンター(空間演出に特化した専門チーム)も強化していきます」(同氏)
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