ソーバル 【2186・スタンダード市場】

ソフトウエア「組込開発」主力独立系企業
電子機器から自動運転・IoTまで業域拡大

ソーバルは、ソフトウエアのシステム開発の中でも、デジタル機器などに組み込むファームウエアを強みとし、ソフトウエア・ハードウエア開発、第三者評価までをトータルで行う独立系企業だ。2021年2月期の売上高はコロナ禍の影響で、前期比9.7%減の75億3100万円、営業利益同60.3%減の2億5100万円、経常利益同13.7%減の5億5700万円と、減収減益となった。今期は「コロナ前の状態に戻す1年」(推津敦社長)をテーマに様々な施策を打ち出している。
ソーバル-推津 敦

推津 敦(しいづ あつし)

社長

東京都出身。2004年明星大理工卒業後、アジアパシフィックシステム総研(現キヤノン電子テクノロジー)入社。05年ソーバル入社、09年取締役。15年副会長兼CEO。18年、代表取締役社長兼最高経営責任者に就任(現任)。

前期は主要顧客方向転換で減収
今期テーマは「コロナ前に戻す1年」

ファームウエアとは、デジタルカメラの画像認識といった家電製品や、パソコン、周辺機器、携帯電話など、コンピュータシステムが入った電子機器本体にあらかじめ組み込み、独自の機能を発揮させるためのソフトウエア。高い技術力が必要になるが、同社は独立系企業として様々なジャンルの企業から受注を獲得してきた。

得意分野から事業領域も年々拡大、「コンシューマ向け製品はもちろん、ウェブ、医療、自動車関連など幅広い分野の企業のニーズに対応し、ソフトウエア開発だけでなく、ハードウエア開発、マニュアル制作、品質評価、自動運転技術、IoT、AIに至るまで技術の提供領域を広げています」(同氏)

セグメント別でみると、現在はファームウエア開発が16%に過ぎず、アプリケーション開発29%、システム開発27%、品質評価10%、その他18%となっている。

21年2月期は、コロナ禍による社内、外部環境の変化により、売上高が減少した。このマイナスを埋めるための新規顧客開発や、テレワークによる継続的な経費削減などに努めたが、営業利益、経常利益ともに減少した。

同社はもともと、キヤノングループ製品のファームウエアの開発受注からスタート。その後富士通、ソニーなどの機器メーカーなどに拡大させた。とはいえ19年2月期では、主要顧客別で39%をキヤノングループが占め、大きな顧客となっていた。

潮目が大きく変わったのが昨年。上期にキヤノングループの方針転換により大きな影響を受けてしまった。技術者の配置転換にも頭を悩ませることとなった。

このため同社は下方修正を強いられてしまった。しかし下期に入り、他社からの受託増加により売上での回復と人員配置の適正化も進めることができたという。

結果、主要顧客別売上構成比でキヤノングループは前年度から半分以下の13.4%へ減少したが、かわってソニーグループが同20%から28・5%とトップに、富士通グループが同10.7%から12.4%、リクルートグループ4.4%へ、トヨタグループが3.5%へと比率、売上とも顔ぶれが大きく変わることとなった。

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