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オイルフリー圧縮機が拡大
アネスト岩田は昭和元(1926)年、国産初の塗装用スプレーガンの開発・販売で創業。現在、スプレーガンなどの塗装機器製品や塗装設備製品を扱うコーティング事業と、空気圧縮機(コンプレッサ)や真空機器製品を扱うエアエナジー事業を手掛けている。売上構成ではコーティング事業が約4割、エアエナジー事業が約6割となる。
「もともと塗料は刷毛で塗っていたのですが、霧にして噴き付けるときれいに塗れる。そこで国内初となるスプレーガンの製造で創業しました。また塗料を霧状にするには圧縮空気が必要なため、空気圧縮機も自分たちで作りました。さらに空気の吸込み時に真空状態を得られることで、真空ポンプも開発するなど領域を拡大。今は塗装機器を組み合わせた、鉄道車両向けの大型塗装から、自動車部品など小物の塗装に関する設備の設計や施工も行っています」(深瀬真一社長)
国内外で1200件以上の特許を取得し、多くの製品を市場に投入している。中でも91年に開発した『スクロール圧縮機』は、潤滑油を使わない世界初の“オイルフリー”の製品だ。クリーンな空気を供給できることから、病院や食・飲料、薬品などの生産工場への納入を増やしている。また静音性が高いため、研究開発施設や、電動の鉄道・バスをはじめとする車両搭載など、環境配慮型製品として需要が拡大している。
祖業のハンドスプレーガンは国内トップの70%以上のシェア、世界ではドイツのSATA社に次ぐ約25~30%のシェアを占める※。自動車の製造や補修に係る塗装や家電、金属製品、木工家具、皮革などへの色付けで多く使用。その他、塗料以外にも離型剤や接着剤、光触媒などの機能材や食用の液体の噴き付け用途もある。
一方空気圧縮機は、主に機械の駆動源として、世界中の産業、製造の現場で使用される大きな市場だ。スプレーガン(塗装機器)の世界市場約1400億円に対し、空気圧縮機はその10倍の約1兆4000億円といわれる。基本的にモノづくりを行う上で必須とされることから、地域を問わず、その需要は増加し続ける見込みだ。
「スプレーガンでは、国内トップ企業としてプライスリーダーになっています。加えて自社設備でアルミを溶かして成形し、最終製品までほぼ内製していますので、コストコントロールもしやすい。市場でしっかり収益を獲っていきたいと思います。一方空気圧縮機は、私どもの海外の金額シェアはまだ1%ほど。そこが2%になるだけで売上が倍になるわけですから、まだまだ成長の余地は大きい。海外売上を増やしていきたいと思っています」(同氏)
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