歯科にまつわる製品を広く展開
海外好調で売上・利益率拡大中
松風は、歯科治療に用いる材料・機器の総合メーカーだ。歯科材料では、人工歯や研削材、歯の修復に用いるレジンなどの化工品類、セメント類など、治療・技工で必要な材料を幅広く展開。代表的製品である人工歯や研削材は歯科医療・技工の教育現場で教材として採用されるなど、品質面で高く評価されている。また、診療で用いる歯面清掃スケーラー、技工分野では口腔内のスキャン・データ作成・レジンの削り出しにより被せ物を作成するCAD/CAMシステムなどの機械器具も扱っている。
国内歯科材料市場での順位は、最大手のジーシー(未上場・東京都文京区)に次ぐ2位。中でも、人工歯は国内シェア37・0%、研削材は同46・3%で、いずれも1960年代からトップシェアを堅持している。また近年注力している樹脂製品(充填修復用レジン)では、ソルベンタム(旧3Mヘルスケア事業)、クラレノリタケデンタル、トクヤマデンタル、ジーシーなど、いずれも同程度のシェアを持つ企業が乱立しており、同社も含めて国内上位を争っている。
2024年3月期業績は、売上高が前期比10・7%増の350億8000万円、営業利益は同23・1%増の47億900万円と、ともに3期連続で過去最高を更新した。その背景にあるのが、海外市場の伸長だ。海外進出開始は1970年代だが、2012年に海外事業拡大を目指す長期ビジョン「500億円構想」を策定。以降、経営資源の配分を大きく海外にシフトした。
「12年以降は、グローバルでの販売網・販売拠点の整備、海外生産の拡大、国内外学術ネットワークの構築を精力的に推進してきました。取り組み開始から10年が経った22年3月期には初めて海外売上が国内を上回り、24年3月期の海外売上比率は57・5%まで伸長しています。海外では樹脂製品を主力に販売しており、同製品は利益率が高い。海外売上比率が高まる程、利益率も伸長しています。22年3月期からは営業利益率が10%を超え、24年3月期の利益率は13・4%となりました」(髙見哲夫社長)
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