エレクトロニクス中心の技術商社 高千穂交易 【2676・プライム市場】

クラウドシステムが大きく成長中
「モノからサービス」への転換加速

70年以上の歴史を持つ高千穂交易は、半導体などのエレクトロデバイスを輸入販売する一方、万引き防止や入退室管理など小売業界やオフィスに欠かせないシステムを提供する企業だ。2014年以降は、クラウドシステム運用請負など「コト」に注力した事業戦略で業績を拡大してきた。配当性向100%という大胆な株主還元策でも注目を集めている。
高千穂交易-井出 尊信

井出 尊信(いで たかのぶ)

社長

1969年3月生まれ。94年高千穂交易入社。2013年システム事業本部ビジネスソリューション事業部長。15年執行役員システム事業本部ビジネスソリューション事業部長。18年代表取締役社長兼社長執行役員(現任)。

シェアトップ製品を多数保有
新セグメントは高利益率が魅力

同社の売上高営業利益率が近年上昇傾向にある。2021年3月期は4・3%だったが、今期予想では7・6%となる見通しだ。

セグメントは3つ。売上の約半分を占めるのが「デバイス」セグメントだ。この部門では製造業を顧客とし、半導体、電子部品などの海外製エレクトロニクスデバイスを輸入・販売している。また製造業向けに国内製のスライドレール、ダンパー、昇降システムなどの製品を販売。スライドレールなどの複合機・ATMやコピー複合機用機構部品では、国内シェアトップとなっている。

売上の約4割を占める「システム」セグメントでは、小売業やオフィス・データセンター、そして東南アジア向けに事業を展開。小売業向けには万引き防止システムや、顔認証システム・監視カメラなどを提供している。中でも、ドラッグストア向け万引き防止システム・監視カメラではシェアトップを占める。

そして注目したいのが、23年3月期より3つ目のセグメントとして生まれた「クラウドサービス&サポート」セグメントだ。このセグメントでは「MSPサービス」を展開する。同サービスは、企業内の無線LANなどのネットワーク機器の運用管理のアウトソーシングを、月額定額料金で提供するもの。月額料金にはクラウドサービスライセンス料と機器代、保守料が含まれる。

MSPサービスでは、ネットワーク環境の運用管理を同社にアウトソーシングすることで、情報システム部門に専任者がいない場合でも、システムを安定して稼働させることができる。また人手不足の昨今、同社による24時間365日の保守は大きな魅力だ。中小企業や、拠点数の多さから管理コストが高い全国展開の店舗を中心に、契約数が伸びている。

クラウドサービス&サポートセグメントの売上比率は全体の1割程度だが、営業利益でみると全体の3分の1を占める。セグメントごとの営業利益率でみても、19・2%と他の2部門と比べて突出して高い。

「このサービスは、お客様に一定期間使っていただければ採算が取れ、それ以降は使い続けていただくほど利益があがっていく。お客様がサービスに満足していただくことで、解約率を低く保つことが重要。今後もこの事業に注力し、将来の稼ぎ頭にしていきたい」(井出尊信社長)

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