循環器系に強み持つ医療機器商社 ウイン・パートナーズ 【3183・プライム市場】

上場から20年で売上高4.5倍に拡大 12期連続増配中・配当性向約70%

 ウイン・パートナーズは、心臓カテーテル製品の販売で国内トップシェアを持つ独立系医療機器商社グループだ。医療機器の販売のみならず、顧客である医療機関の課題解決にも注力。2023年3月期は年間配当を50円と12期連続の増配とし、配当利回り4.92%(23年3月期末時点)、配当性向約70%となった。高配当企業の実力と、今後の戦略に迫る。
ウイン・パートナーズ-秋沢 英海

秋沢 英海(あきざわ ひでうみ)

社長

1960年12月高知県生まれ。83年、京都産業大学を卒業後、西本産業(現キヤノンメドテックサプライ)入社。92年タクミコンサーン(現ウイン・インターナショナル)に入社、代表取締役。94年代表取締役社長。2013年ウイン・パートナーズ設立、代表取締役社長に就任(現任)。

循環器の低侵襲治療が中心
医療機関支援で売上を拡大

同社は心臓疾患を中心とした低侵襲治療(身体に対する負担の少ない治療法)に用いられる製品や医療機器の販売を展開。カテーテルやステント、ペースメーカーなどの機器を取り扱い、医療機器メーカー約90社、顧客病院は約460施設と取引は数多い。

主力の心筋梗塞や狭心症の治療に使うPCI(虚血性心疾患関連)製品の販売では、国内シェアは約15%で首位に立つ。23年3月期は売上高708億5400万円(前期比6・7%増)となった。成長市場である心臓律動関連(CRS)、心臓血管外科関連(CVS)、大型機器案件の売上が増加した。

同社の販売方法は“富山の薬売り方式”。医療機関に製品を預け、使った分だけを請求する。取扱製品の多くがメーカーからの貸出品で在庫リスクが少ない。外国製品の仕入れは円建てで日本法人から行うため、こちらも為替リスクが低い。

「さまざまな指標の中でも粗利益率を重視しています。利益は取り過ぎても取らな過ぎてもダメ。常日頃から社員に、『自分たちが汗をかいた分が粗利率なんだ』と伝えています。13~15%が適正値だと考えています」(秋沢英海社長)

前述した販売策とともに注力し、利益の源泉となっているのが、「顧客の成長が当社の成長」という考えのもとに展開している、顧客である医療機関の経営支援・集患支援だ。

「循環器は病院にとって大きな収益源です。その部分を的確にテコ入れして、集患できるようにするのは当社の本来の仕事でもあります。その際に生きるのが、これまでの事例。ケーススタディを多く持っている方が強い。言わば情報戦なんです」(同氏)

集患支援の一例を挙げてみる。地域の見込み患者数は、厚生労働省の資料などから算出することができるが、実際の患者数は計算よりも少ないことがある。その場合は理由はなぜかを探り、さまざまな提案を行い解決につなげる。

「例えば講演会の提案やセッティングをします。当社の取扱製品の多くは消耗品です。病院に患者さんが増えないと、当社の商品を使っていただけない。ですので私たちは『顧客の成長が当社の成長』と考えています」(同氏)

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