日本・タイ・北米の3極で生産
世界2位グループの一角を担う
アルミは、アフリカなどから産出する鉱石、ボーキサイトを電気分解することで作られる。軽くて熱をよく伝えるという特徴を活かし、飲料缶や食品パッケージ、自動車エンジンの冷却器(ラジエーター)などに多用される。また、さびずに丈夫なことから自動車部品や建材、航空機などに、そして磁気を帯びないことから、電池や半導体製造装置などに幅広く使用される。
同社は、海外から輸入したアルミ新地金やリサイクル再生地金を溶解・鋳造して圧延などの加工をほどこし、板や部品などの素材を製造。2023年3月期の売上高は9628・8億円(前期比23%増)となった。売上の約8割がアルミ圧延品事業、約2割が加工品・関連事業となっている。
主力のアルミ圧延品のうち、国内では約40%、海外拠点を含めると65%が飲料向けなどの缶材だ。また自動車の熱交換器用材や車体パネルなどの構造部材、医薬品・食品などのパッケージ、IT機器・半導体製造装置・リチウムイオン電池箔・航空機の素材など幅広い分野に製品を供給している。
「鉄と同じ強度の部品をアルミニウムで作ると、重さは約3分の2になります。たとえばアルミ部品を使って自動車を軽量化すれば、燃費が向上してCO2が削減できるだけでなく、航続距離が伸びる。走行安定性が向上することで車の寿命を伸ばすこともできます」(石原美幸会長)
同社は日本に加え北米、タイと世界3拠点に大規模な製造販売拠点を持ち、世界で68社、従業員約1万人の企業グループを形成。アルミ圧延品出荷量は年間約130万トンを超え、世界トップクラスだ。北米拠点はアメリカ全土、タイ拠点は北米需要の応援と東南アジア全般、日本拠点は国内とヨーロッパを担当し、「地産地消」のローカル戦略を原則に展開する。
「アルミは合金の種類が多く、板事業だけで1000種類以上の製品があります。その中から最適な製品を提供することで、世界600社以上のお客様と強固な取引関係を構築しています」(同氏)
国内における同社のアルミ圧延品生産量の割合は約5割と、圧倒的なシェア第1位。グローバルでは、首位のアメリカ・ノべリス社に次ぐ世界2位グループ3社の一員となっている。海外売上比率は約6割だ。
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