UACJ 【5741・プライム市場】

アルミニウム圧延板でシェア世界2位G
構造改革経て「循環型社会」実現に挑戦

UACJは「アルミでかなえる、軽やかな世界」をスローガンに、アルミニウム(アルミ)の溶解・鋳造、圧延加工を手がけるグローバル企業。アルミ圧延品の国内シェアは約5割でトップ、圧延板の世界シェアでも2位グループの一角を担う。構造改革を経て選択と集中を進め、稼ぐ力を大きく改善した。成長分野と位置づける缶材や、電池箔関連を含めた自動車関連部材への注力で、さらなる業績拡大を目指す。
UACJ-石原 美幸

石原 美幸(いしはら みゆき)

会長

1957年7月生まれ、岐阜県出身。81年名古屋大学工学部を卒業後、住友軽金属工業に入社。2012年同社執行役員。13年UACJ執行役員。15年取締役執行役員。17年取締役常務執行役員。18年代表取締役社長執行役員。24年4月1日付で取締役会長に就任(現任)。

日本・タイ・北米の3極で生産
世界2位グループの一角を担う

アルミは、アフリカなどから産出する鉱石、ボーキサイトを電気分解することで作られる。軽くて熱をよく伝えるという特徴を活かし、飲料缶や食品パッケージ、自動車エンジンの冷却器(ラジエーター)などに多用される。また、さびずに丈夫なことから自動車部品や建材、航空機などに、そして磁気を帯びないことから、電池や半導体製造装置などに幅広く使用される。

同社は、海外から輸入したアルミ新地金やリサイクル再生地金を溶解・鋳造して圧延などの加工をほどこし、板や部品などの素材を製造。2023年3月期の売上高は9628・8億円(前期比23%増)となった。売上の約8割がアルミ圧延品事業、約2割が加工品・関連事業となっている。

主力のアルミ圧延品のうち、国内では約40%、海外拠点を含めると65%が飲料向けなどの缶材だ。また自動車の熱交換器用材や車体パネルなどの構造部材、医薬品・食品などのパッケージ、IT機器・半導体製造装置・リチウムイオン電池箔・航空機の素材など幅広い分野に製品を供給している。

「鉄と同じ強度の部品をアルミニウムで作ると、重さは約3分の2になります。たとえばアルミ部品を使って自動車を軽量化すれば、燃費が向上してCO2が削減できるだけでなく、航続距離が伸びる。走行安定性が向上することで車の寿命を伸ばすこともできます」(石原美幸会長)

同社は日本に加え北米、タイと世界3拠点に大規模な製造販売拠点を持ち、世界で68社、従業員約1万人の企業グループを形成。アルミ圧延品出荷量は年間約130万トンを超え、世界トップクラスだ。北米拠点はアメリカ全土、タイ拠点は北米需要の応援と東南アジア全般、日本拠点は国内とヨーロッパを担当し、「地産地消」のローカル戦略を原則に展開する。

「アルミは合金の種類が多く、板事業だけで1000種類以上の製品があります。その中から最適な製品を提供することで、世界600社以上のお客様と強固な取引関係を構築しています」(同氏)

国内における同社のアルミ圧延品生産量の割合は約5割と、圧倒的なシェア第1位。グローバルでは、首位のアメリカ・ノべリス社に次ぐ世界2位グループ3社の一員となっている。海外売上比率は約6割だ。

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン 会員登録 SEARCH