「環境システム」「塗装システム」
同社の基幹事業は、いずれも高度な技術力を要するため参入障壁が高いのが特徴。
「環境システム事業」では、空調設備の設計・施工を中心に、半導体、電気電子部品からEV電池、製薬、データセンターまでの広範な領域で強固な顧客基盤を持つ。近年は、半導体製造の世界的企業TSMCの初の日本工場建設プロジェクトに参画、クリーンルームなどの主要設備工事を担当した。
一方、「塗装システム事業」では、主に自動車の塗装工程に関わる設計・施工から、オートメーションなど、塗装工場を一括して請け負えるトータルエンジニアリング技術・ノウハウを有する。高い塗装品質の実現と、先進的な環境技術を調和させた世界最先端の塗装技術を追求。世界各国の自動車メーカーの大型塗装プラントの設計・施工を数多く手がけ、世界第2位の売り上げを誇っている。
2024年3月期の受注工事高実績は、2635億円。そのうち「環境システム事業」65・2%(ビル空調13・7%・産業空調51・5%)、「塗装システム事業」34・8%。市場環境の影響を一定程度受けるものの、着実に業績を伸ばしている。
海外売上高は約50%
また、同社は同業他社に先駆けてグローバル展開を積極的に推し進めてきた。半世紀以上にわたって現地に根付いた活動を積み重ねてきており、2025年3月末時点では、東南アジアはじめ北米、中南米、ヨーロッパ、インド、中国等、海外19の国と地域に、業界では最多となる28の連結子会社を持つ。海外グループ会社では、多くのナショナルスタッフが活躍している。
日系企業だけでなく、現地企業からの受注実績も多く、施工実績のある国・地域は50か国超。海外売上高比率は約50%で、業界をリードする海外実績を誇っている。
約110年の歴史を誇る
同社は1913年、建築材料等ドイツからの輸入業としてスタート。1918年からはビル空調を中心とした建築設備事業を本格的に開始した。
1934年からは「繊維の時代」到来とともに紡績工場の空調工事事業を拡大し、産業空調分野へ進出。現在のコア事業にまで成長させた。1953年には、「モータリゼーション」に合わせ、自動車の塗装設備事業を展開。塗装システム事業の拡大に繋げている。海外進出は1971年、タイに初めて現地子会社を設立し、グローバルネットワーク化を進めてきた。
112年の歴史の中で大気社は、時代の潮流をいち早くキャッチし、他社の模倣・追随が困難な分野を深化・探索してきた。これが同社の大きな強みとなっている。