シンフォニアテクノロジーは1917年(大正6年)に創業。三重県鳥羽市にあった造船所に設立された電機工場から事業をスタートした電機メーカーだ。現在、半導体搬送システム、航空機用電源システム、宇宙ロケット用アクチュエータ、鉄道用電装品、EV開発試験装置など多彩な技術を通じて社会を支えている。同社では半導体搬送事業を成長の原動力に、2030年には売上高2000億円という目標を掲げている。同社の事業拡大の要となる技術は回転機技術、すなわちモータおよび関連するパワーエレクトロニクス・制御技術を指す。
創業時に製造を開始した船舶用発電機に始まり、その回転機技術を航空・宇宙分野へ応用、さらに回転運動を使って「モノ」を運ぶ技術が、半導体搬送分野に繋がっている。
同社には船舶分野で蓄積した耐水、塩害対策などの特殊な環境下で回転機を動作させ続けるノウハウがある。そのノウハウを上空や宇宙空間での温度・気圧の変化や耐衝撃に応用し、国産初の航空機用風車発電機の開発に繋げた。現在では国内で唯一、防衛航空機の発電・配電・電力変換機器をトータルで供給することができるメーカーとなり、同社の航空・宇宙事業は、グループの安定成長を支える重要事業に位置づけられている。
同社は、技術対応力をもって顧客のニーズに応えるビジネススタイルであることから研究開発に力を入れており、研究開発人材を全従業員の3割以上にすべく増員を目指している。また、開発をより高度に行うため、構造・応力・熱などの物理的・科学的評価・分析を行う専門チームを備えていることに加え、材料開発も自社内で行うことができる。これらの開発環境が、複雑なニーズにも迅速に対応することを可能としている。さらに、経営TOP自らがモータ理論を講義し、人材育成に取り組むとともに、「たとえ今利益を生み出せていなくても、必要な技術なら、勝てるようになるまで楽しもう」という「挑戦する風土」が根付いている。同社の業績を支える多彩な技術開発力は、モータを知り尽くした技術者と、自由で活気ある環境の下、研究・開発に取り組める企業風土が確立されているからこそ成り立っているのであろう。
▲高出力密度モータ(左)と構造解析(右)
長年に渡り技術開発に注力してきた同社。昭和初期には今で言うEVを開発するなど、その優れた技術は今日の半導体や航空機などの旺盛な需要のある分野で、確固たるポジションを築くまでに至った。それに伴い顧客から日々さまざまな技術課題が持ち込まれる信頼関係も構築できている。今後も「挑戦する風土」を活かし、世の中の課題を技術対応力で解決する形で社会に貢献していく。