萩原電気ホールディングス 【7467・プライム市場】

ビジネスモデル変革による提供価値の向上

半導体・電子部品等を扱う技術系商社の萩原電気ホールディングスは現在、中期経営計画で構造改革の一つに、『ビジネスモデル変革による提供価値の向上』を掲げ、収益性を狙ったビジネスモデルの構築に取り組んでいる。中でも「ソリューション事業」では、昨年データプラットフォーム型ビジネスを立ち上げ、データに基づく新たな価値サービスを提供。他社と差別化できる新ビジネスの確立に取り組んでいる。

データプラットフォーム型ビジネスで
ストック収益の拡大を目指す

傘下のシンガポール企業を通じ
高度なIoTプラットフォーム提供

同社の事業セグメントは、主に自動車産業向けに半導体・電子部品などを提供する「デバイス事業」と、主に製造業向けにIT技術などによる課題解決や最適化を行う「ソリューション事業」の2事業からなる。

データプラットフォームは、「ソリューション事業」におけるITソリューション、組込ソリューション、FAエンジニアリングの既存3領域に加えて、新たな収益の柱として期待されている。新規・既存事業との融合ビジネスや、ストックビジネス拡大により、利益率を向上させることでグループ全体の収益構造改革を進めていく。

同事業のポイントとなるのが、24年7月に子会社化したシンガポールのBellaDati(ベラダティ)社の存在だ。同社はオリジナルのIoTプラットフォーム『BellaDati』を持ち、IoTサービスに必要な「データ収集」「データ蓄積」「見える化/分析」といった機能を1つのソフトウェアに標準搭載、短期間でのサービス構築を可能にする。

この先進的なIoTプラットフォームと、萩原電気グループの製造業における深い知見を組み合わせることで、これまで見過ごされていたデータの価値を引き出し、顧客に新たな〝価値のある情報〟を提供できるようになる。具体的には、予知保全や生産最適化、さらには新規ビジネスモデルの創出まで、幅広い領域でのイノベーションが可能になる。

内製化による顧客対応の迅速化に加え、顧客ベースやブランド力のリソース共有によるシナジー効果の発揮など、萩原電気グループの強みを活かして事業を拡大していく計画だ。

27年3月期までの中計の柱
ソリューション型事業モデル拡大

同社のこの取り組みは、27年3月期までの3か年を対象とした中期経営計画『Make New Value 2026』で掲げた構造改革の一つ。同計画では、顧客の困りごとや課題に対する解決策(ソリューション)を提案・提供する『ソリューション志向』のビジネスを拡大し、提供価値を高め、適正利益を得ることで収益力強化を目指している。

現在、同社の収益構造は卸型事業が大きな割合を占めているが、既存ビジネスにおいてもソリューション志向のもとで付帯開発やサービス事業を拡大するなどして、ソリューション型事業の比率を高めていく。中計最終年度の27年3月期には、売上高3000億円、営業利益110億円、ROE11%以上の達成を目指す。

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