神戸物産 【3038・プライム市場】

「食の製販一体体制」確立しPB商品で差別化
「業務スーパー」1500店舗まで出店拡大見込む

食品販売店「業務スーパー」を全国1023店舗(2023年 4月末時点)展開する神戸物産。同社はこの10年間で売上 が倍以上に増加。株価も50倍以上に上昇し、テンバガー 銘柄としても注目を集めた。急激な円安や物価高騰のあ おりを受けながらも業績は依然好調を維持する。2023 年10月期の業績予想は連結売上高4400億円、営業利益 297億円。達成すれば10期連続の増収増益となる。食品 工場などの積極的なM&Aにより、「食の製販一体体制」 を確立し、低価格なプライベートブランドを中心とした商 品構成によって消費者の人気を集めている。同社は今後 も、「業務スーパー」のさらなる拡大を進めると同時に、第 2、第3の柱を構築していく考えだ。
神戸物産-沼田 博和

沼田 博和(ぬまた ひろかず)

代表取締役社長就任

1980年11月生まれ、兵庫県出身。2005年京都薬科大学薬学部・大 学院卒業。大正製薬に入社。2009年神戸物産入社。10年STB生 産部門部門長。11年取締役就任。12年代表取締役社長就任(現 任)。18年外食事業推進本部担当役員(現任)
同社の基幹事業である「業務スーパー」は、2000年3月に第一号店がオープン。元々飲食店など業務用ユーザーをターゲットにしていたが、現在は大半の利用が一般消費者となっている。国内のグループ工場で製造するオリジナル商品と、「世界の本物」をコンセプトに約50カ国から直輸入する商品を独自のプライベートブランド(以下:PB)商品として展開していることが特徴だ。

フランチャイズ方式で全国展開
食品加工工場は国内25拠点

「業務スーパー」は近年、低価格でユニークなPB商品がメディアやSNSで多く取り上げられることで認知度が更に向上し、業績拡大に繋がっている。店舗は直営の3店舗以外フランチャイズ(FC)方式で全国47都道府県全てに出店。店舗数は右肩上がりで増えており、2022年10月には1000店舗を達成した。現在、1023店舗のうちFC加盟社数は104社(22年10月末時点)。同社はFC本部として商品の企画・開発を行い、加盟店への卸売やロイヤリティ収入などで収益を得ている。

同社のFC方式は、ロイヤティが月額1%と他のFCと比べて非常に低いことが特徴。その分商品を卸してもらい販売に力を入れてもらおうという考えだ。加盟店が利益を上げることで2店目、3店目と多店舗化につなげてもらう。実際、加盟店の平均店舗数は単純計算で1社あたり約10店となっている。

一方で同社は「食の製販一体体制」を確立するため、食品加工工場を中心に積極的なM&Aを行っている。グループで、国内には食品加工工場25拠点を所有し、海外350超の協力工場から商品を調達している。原材料の調達から商品の開発、販売まで一貫して管理できる体制を構築。これが消費者ニーズに合った品揃えとエブリデイ・ロープライスに繋がっている。

同社が進める「製販一体体制」はコロナ禍では一層効力を発揮したという。
「一気通貫システムは、製造量や価格などを自社でコントロールできるという強みがあり、特にこの2年はその効果が出たと思います。22年10月期には特に即効性のある改善が求められたため、既存品の改良にかなり力を注ぎました。これまではなかなか手がつけられていなかったのですが、今回は品質改善やコスト削減が大きく進みました」(沼田博和社長)

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