小松製作所 【6301・プライム市場】

「稼ぐ力の最大化」で次の100年へ向けた投資ソリューションとプロダクト共に伸ばし未来の現場へ

世界的建機メーカーであり「コマツ」の呼称で知られる建設・鉱山機械メーカーの小松製作所。2023年3月期の連結業績は過去最高を記録。資材価格、物流コストの上昇があったものの、新車需要の着実な取り込み、部品・サービスの売上増に加え、販売価格の改善、円安による為替影響により前年度を大きく上回った。現在は新中期経営計画「DANTOTSU Value─Together, to “The Next” for sustainable growth」の取り組みを推進中。2年目となる今年度は「稼ぐ力の最大化」に重点を置き、アフターマーケットをはじめとする成長市場に注力。次の100年へ向けてさらに収益力を拡大していく。
小松製作所-小川 啓之

小川 啓之(おがわ ひろゆき)

代表取締役社長就任

1961年生まれ。大阪府出身。京都大学大学院冶金工学科修士課程修了。85年小松製作所入社、川崎工場生産技術部生産技術課。2004年コマツアメリカのチャタヌガ工場長。07年生産本部大阪工場管理部長。10年執行役員就任。13年生産本部調達本部長。14年インドネシア総代表兼コマツマーケティング・サポートインドネシア会長。15年常務執行役員就任。16年生産本部長。18年取締役兼専務執行役員就任。19年代表取締役社長就任(現任)。

海外売上90%の世界的建機メーカー
2023年3月期に過去最高業績

コマツは建設・鉱山機械分野で、米国キャタピラーに次ぐ世界第2位の売上を誇る。同社の製品は、土木工事や建築工事など様々な分野で使われ、都市化やインフラ開発を支えている。

事業部門は、売上の約9割を占める「建設機械・車両」と「リテールファイナンス」「産業機械他」の3つがある。主力製品の油圧ショベルやブルドーザーをはじめ、ユーティリティと呼ぶ小型機械から世界最大級のダンプトラックまでフルラインナップを展開。機械の性能を左右するエンジンなどのキーコンポーネントも自社で開発・生産し、高い品質と世界中の顧客からの信頼によって国際的トップメーカーの地位を確立している。

1921年創業者の竹内明太郎氏が石川県小松市に小松製作所を設立。創業時から世界市場を視野に入れたものづくり精神で、業界に先駆けて製品を海外へ輸出した。現在は建設機械のグローバル生産拠点60カ所、海外生産比率約6割、海外売上高比率約9割を占める(23年3月31日時点)。

2023年3月期の連結業績は、売上高3兆5435億円(前期比26・4%増)、営業利益4907億円(同54・20238%増)。売上高、営業利益、純利益いずれも過去最高を更新した。資材価格や物流コストの上昇はあったものの、クロスソーシングの活用及びマルチソーシングの強化など、外部環境の変動に強いサプライチェーンの構築に取り組み、新車需要を着実に取り込んだ。また部品・サービスの売上増、各地域での販売価格の改善、円安による為替影響も要因となった。

エリア別では中国、CISを除くすべての地域で前年度の売上を上回った。特に前年度から大きく伸びたのがアジア、北米、中南米だ。アジアでは、インドネシアにおける石炭、ニッケル鉱山向け機械需要や、フィリピン、ベトナム、マレーシアを中心に一般建機の需要が堅調。北米では、金利上昇の影響で住宅建設向けの一般建機の需要が減少したが、レンタル、インフラ向けが好調で、エネルギー関連向けも引き続き増加した。また鉱山機械の需要は、北米、南部アフリカなどで好調に推移した。

販売価格の改善については、北米・中南米以外にも、これまで価格が変わらなかった日本でも今回値上げが受け入れられた。
「北米・中南米は物価上昇に比例して価格を上げる文化があり、お客様も値上げに抵抗があまりありません。ここはキャタピラー社の主戦場で、彼らの売上の約6割を占めます。一方、我々は約4割。我々の主戦場は日本や戦略地域の東南アジアなどです。東南アジアはプレイヤーも多く、中国メーカーもどんどん進出しており、なかなか値上げができない。日本では残念ながら、都市開発や建設投資も頭打ちですから新車需要は増えないと思います。その中でも値上げを一生懸命やってもらっていますが、値上げする以上は価値を認めてもらわなくてはいけない。そのためにもスマートコンストラクションなどのソリューションビジネスを推進しています」(小川啓之社長)

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