包丁から消臭剤まで300品目超
巧みな話術で購入意欲そそる
同社が扱う生活用品は、包丁やフライパンといった調理用品から、タオル、クッション、消臭剤に至るまで300品目以上。そのほとんどがメーカーとの独占契約で、近年は自社開発品も増加している。販売経路は、ホームセンターや日用品店などに商品を卸し、自社で卸先の販売支援するリアル店舗と、テレビの通販番組のB to Bルート、ウェブのショッピングモール内EC通販のBtoCルートだ。
2020年3月期の販路別売上高の割合は、TV通販が44.7%と最も多く、リアル店舗に卸すベンダー販売が25.7%、インターネット通販23.5%、実演販売士を販売会場や小売店へ派遣するセールスプロモーションが3.3%、昨年オープンした「デモカウ」と呼ばれる自社店舗が2.8%。2020年3月期の売上高は前期比59.9%増の56億500万円で、2021年3月期は14.5%増の64億1900万円を見込んでいる。
同社最大の特徴であり、強みとなっているのは、「実演販売士」による商品販売だ。店舗・TV通販・ネットの3チャンネルでそれぞれ巧みな話術で、商品の使い方を紹介し消費者の購買意欲を刺激、販売につなげていく。吉村泰助社長はこの販売手法を「3Dマーケティング戦略」と名付けている。
「現代の消費行動はTVで見て、ネットで調べて、リアル店舗で納得して購入する、という流れです。それぞれに実演販売士が魅力的に紹介することができれば、どこのルートでも購入してもらえる」
実演販売士による営業手法は珍しくない。ガマの油、バナナのたたき売りは昔から知られ、フーテンの寅さんは映画で活躍していた。吉村社長は、大学時代に演劇活動の傍ら、そのスキルを活かし実演販売のアルバイトを行っていた。卒業後、日用品等の販売会社で、専属実演販売士として数々のヒット商品を手掛け、メディアにも出演し、名を挙げた。
しかし、当時の実演販売士は「宣伝屋」と呼ばれ、「いかがわしい」とか、「怪しい」というイメージがついていた。「我々のイメージを上げれば、新しいビジネスが生まれると考え、1998年に演劇仲間を募って同社を設立しました」(吉村社長)
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