トリケミカル研究所 【4369・プライム市場】

7期連続増収、6期連続増益の化学薬品メーカー
0・1gから製造、狙うは製品毎の「ニッチトップ」

トリケミカル研究所(4369・東1)は、山梨を拠点とする化学薬品メーカーだ。多品種・小ロットでの高純度化学化合物の商品開発および生産に強みを持つ。小さなマーケットでシェアトップとなることを繰り返し、売上を積み上げていくというビジネスモデルで、売上は5年前と比較し2倍、営業利益は同6.6倍と、大きく成長を遂げている。
トリケミカル研究所-太附 聖

太附 聖(たづけ きよし)

社長

1965年生まれ、神奈川県出身。87年東海大学工学部卒業後、トリケミカル研究所入社。エンジニアとして化学薬品の製造・研究開発業務に従事したのち、営業畑に転向。2007年取締役営業本部長、12年専務取締役などを経て、14年4月、同社代表取締役社長に就任(現任)。

売上高83億円、9割はSi半導体向け製品

同社の2020年1月期の売上は83億円、営業利益は23億円。売上高営業利益率は28.1%で、2018年1月期以降、3年連続で約25 %以上となった。また、売上は6期連続、営業利益は5期連続で過去最高を更新と、躍進している。

ビジネスモデルの大きな特長は、大手が参入しにくい数億~数十億円規模のニッチなマーケットを狙い、それぞれの製品でトップシェアを取っていくという点だ。同社の売上の9割近く、74億円を占めるのが、Si半導体向けの材料。近年、高性能・高集積化が進む最先端の半導体の開発には、新たな化学薬品の存在が欠かせないが、必要とされる絶対量は少ない。加えて、半導体メーカーが製造する全デバイスのうち、最先端の物が占める比率も、さほど高いわけではない。

「要は、最先端デバイスになればなるほど、化学薬品は新しいものが必要になって、マーケットは小さくなります。そうすると、大手が非常にやりづらいですよね。(量は)増えたところで高が知れていますから、大手さんは非常に手を出しづらいマーケットです」(太附聖社長)

マーケットの特殊ぶりは、極端な例だと、「0・1グラムをガラス瓶のようなものに入れて出荷することもある」(同氏)程。競合らしき競合は存在せず、製品ごとにライバルが存在するか、もしくはそれすら存在しないという、独走状態だ。この状況は、価格優位性を生み、利益率を押し上げる要因となっている。また、顧客からの細かな要望に応えるにあたっては、過去に開発してきた2000種にものぼる膨大な製品自体も大きな存在だ。

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