総合不動産を展開 トーセイ 【8923・プライム市場】

6つの不動産事業でポートフォリオ経営
1都3県に絞った物件仕入れ力が強み

トーセイは、1都3県で不動産の再生、開発から、ファンド・コンサルティング、賃貸、管理、ホテルまで手掛ける総合不動産会社だ。2023年11月期は連結売上高794億4600万円、営業利益162億5400万円と売上・利益ともに過去最高を更新し、今期も増収増益を予想。中期経営計画では26年11月期の経営指標に、売上高1232億円、自己資本比率35%、配当性向35%を掲げる。目標達成の鍵となるのが同社の強みである仕入れ力だ。
トーセイ-平野 昇

平野 昇(ひらの のぼる)

取締役専務執行役員 管理部門統括

1959年生まれ。82年慶応義塾大学商学部卒業、国分入社。91年東誠商事入社。2006年トーセイ取締役専務執行役員管理部門統括(現任)。16年トーセイ・アセット・アドバイザーズ取締役(現任)。20年トーセイ・リバイバル・インベストメント(現トーセイ・ロジ・マネジメント)代表取締役(現任)。24年トーセイ・ホテル・マネジメント取締役(現任)。

6事業でリスク分散
中古物件をバリューアップ

同社は、東京圏を中心に6つの不動産関連事業を展開する。主力は資産価値の下がった中古不動産を取得し、バリューアップ後に販売する「不動産再生事業」。23区内の築35年未満の中小規模物件を主なターゲットに、再生後は投資家や一般法人、個人向けに販売している。2つ目は、土地を取得し新築開発をして販売する「不動産開発事業」。この2つの「売買事業」で得た収益を再投資に回し事業を拡大するというのが、同社のビジネスモデルだ。

売買物件は、オフィスから商業施設、ホテル、物流施設、賃貸・分譲マンション、分譲戸建てまでと幅広い。顧客ターゲット別の取扱シェアは、J─REIT(不動産投資信託)・ファンドなどの投資家は10億~100億円以上の物件規模のものを対象に約25%という比率。一般法人は5億~20億円のものを対象に約45%。個人は3000万~10億円のものを対象に約30%となっている。

その他の「不動産ファンド・コンサルティング」「不動産賃貸」「不動産管理」「ホテル」の4事業を、ストック収益が得られる「安定事業」と位置付けている。2023年11月期の営業利益比率は、売買事業が50・8%、安定事業が49・2%。6事業でリスク分散しながら、市況の変化にも柔軟に対応できるポートフォリオ経営が特徴だ。

「当社はこの規模にも関わらず、三井不動産、三菱地所、住友不動産と同様に、総合不動産業を標榜しています。大手ディベロッパーでは、中古を買って再販しているところはあまりありません。住宅専門会社やファンド系など、事業毎に競合はいますが、6つのセグメントがあり全部できることが当社の強みです」(平野昇取締役専務執行役員)

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン SEARCH