ファイバーゲート 【9450・プライム市場】

集合住宅、商業施設向けにWi─Fi敷設
業績二桁増続く、攻勢緩めず再エネ進出

ファイバーゲートは、通信機器の開発・製造から電気通信サービスまでを一貫して手掛ける独立系Wi-Fiソリューション企業だ。集合住宅を対象に入居者が「インターネット無料使い放題」となるサービス、店舗・商店街・商業施設などでのフリーWi-Fiサービスの2事業を展開する。コロナ禍でのリモート需要を受け、2021年6月期は売上高が前期比14.3%増の84億9100万円、営業利益は同26.2%増の15億5900万円と成長が続く。好調のWi-Fi事業に加え、今後は再生可能エネルギー事業も新たに育成する構えだ。
ファイバーゲート-猪又 將哲

猪又 將哲(いのまた まさのり)

社長

1965年2月26日生まれ。愛知県出身。87年興亜火災海上保険(現損害保険ジャパン)入社。95年マイネット代表取締役。2003年電話の加入取次業を行う「ハローライン二十一」を自身で買い取り、北海道札幌市に移転。「ファイバーゲート」に社名変更し、代表取締役社長に就任(現任)。

賃貸住宅用Wi─Fiの先駆け
開発・価格・高技術に強み

同社は、大手キャリア以外では数少ない公衆無線LAN事業者※の認可を受けた独立系Wi─Fiソリューション企業だ。マンション・アパートに全戸一括でインターネットサービスを提供する「ホームユース事業」と、観光施設や店舗、商業施設などにフリーWi─Fiサービスを提供する「ビジネスユース事業」の2事業を展開する。

主軸はホームユース事業で、売上高の83・2%(21年6月期実績)を占める。同事業を開始した2004年当時、無料インターネットサービスは主に大型分譲マンションが対象だったこと、一方で、日本の集合住宅の3分の2は20戸未満という背景から、賃貸型など小規模な集合住宅に向けたサービスを構築した。「ニッチな分野で自らビジネスを創出し、そこでトップを狙う」(猪又將哲社長)のがポリシーだという。

同社の収益モデルでは、賃貸オーナーやデベロッパーが一戸につき月々約1000~1200円を6年契約で一括支払いする。新築はもちろん、既築でもルーターを壁に埋め込む簡単な工事で設置でき、物件の稼働率や集客を考えるオーナーにとって、有効な施策となっている。また最近ではコロナ禍によるリモートワークの浸透もあり、追い風が吹く。契約戸数は22年6月期第3四半期時点で約44万戸と直近1年で最大の積み上げとなり、全国シェアは11・2%(MM総研調査から算出)の4位となっている。

強みは、通信機器の開発・製品化から一貫して手掛けていることだ。ホームユース事業では、集合住宅に不要な機能は省き、さらに自社製品であるため低価格で機器を提供できる。こうした「製品開発力」「価格競争力」に加え、早くから認証システムの開発に乗り出し、高水準の「認証技術」を実現した。最近ではこうした技術の集大成ともいえるIoTやIPカメラを駆使した次世代型マンションを発表している。また、機器の販売・工事の「フロー」とサービス利用料などの「ストック」と2つの収益構造を両立させることで、経営の安定にもつながっている。

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