アクリル樹脂派生製品を展開 藤倉化成 【4620・スタンダード市場】

自動車用内装塗料の国内トップクラス
「攻めの営業」で売上高630億円へ

藤倉化成は創業85年超で培った化学技術を活用し、高付加価値塗料や電子材料、化成品などを開発・製造する。自動車内装用コーティング塗料では、国内シェアトップクラス。ハウジングメーカー向け住宅外壁用塗料でも高いシェアを誇る。2026年3月期までの中期経営計画では、売上高630億円、営業利益率6・3%、そして総還元性向70%を目指す。
藤倉化成-加藤 大輔

加藤 大輔(かとう だいすけ)

社長

1954年5月生まれ。東京都出身。77年藤倉化成入社。2000年コーティング事業部営業部長。05年取締役、コーティング事業部長。09年RED SPOT PAINT&VARNISH Co.,Inc. 代表取締役社長。12年常務取締役、電子材料事業部長。13年代表取締役社長(現任)。

アクリル樹脂で多様な製品群
海外子会社と連携し世界展開

アクリル樹脂といえば、透明で硬い“アクリル樹脂板”が思い浮かぶ。しかしアクリル樹脂は、合成の方法や配合する材料の比率によって、固体や液体などさまざまな状態に変えることができる。また強度や耐熱性といった特性の付加も可能だ。

藤倉化成は、アクリルをはじめとした樹脂重合(合成)技術と塗料配合技術を用いて、幅広い製品を開発・製造するBtoB企業だ。国内に5社、海外に10社のグループ会社を持ち、海外売上比率は約5割。2024年3月期の業績は、売上高526億1200万円(前期比3・5%増)、営業利益12億9900万円(同270・5%増)の増収増益となった。

売上の約6割は「コーティング」事業が占める(左上図参照)。このコーティングとは、プラスチック用塗料のこと。自動車、化粧品容器、家電筐体などに向けたプラスチック用塗料を生産するが、そのうち約7割が自動車の内外装向け塗料だ。

自動車には多くのプラスチック部品が使用されている。同社の塗料はそれらを保護したり、デザイン性をアップさせたりするために施される。

得意分野は、車のインパネやドアなどを塗装する内装用塗料だ。同社が製造する塗料のうち、漆黒性を表現する〝ピアノブラック〟や金属調などの塗料はデザイン性が高く、人気がある。また擦傷(すりきず)がつきやすく耐候性の低いポリカーボネイト製のヘッドランプレンズなどに、保護用として同社の高耐候性塗料が使われる。これらの塗料は自動車メーカーのティア1、ティア2といった会社に納入されている。特に車の内装プラスチック用塗料に関しては、日本でトップクラスのシェアを持つ。

「車のボディの塗料は、大企業の独壇場で入る余地はない。だから我々はニッチトップを狙い、自動車の内装カテゴリーの中では一番になろうという気持ちで事業展開しています」(加藤大輔社長)

コーティング事業は海外でも幅広く展開。同社と子会社のアメリカ・レッドスポット社、やはり子会社のイギリス・フジケムソネボーン社による三極体制で高品質な塗料を製造し、供給網を整備している。

藤倉化成本体は国内と、中国、アセアン・インドの日系自動車向けの塗料を提供する。レッドスポット社は、フォードやGM、ステランティスをはじめとした米国の自動車部品のメーカーに塗料を納入。フジケムソネボーン社は、ランドローバーやプジョーなどの欧州車に塗料を提供している。

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