環境ビジネス国内最大級 大栄環境 【9336・プライム市場】

海外機関投資家率約6割、ESG株で注目集める
公民連携、M&Aにより事業規模を拡大

2022年12月14日、環境ビジネスの注目株として大栄環境が東証プライムに直接上場した。同社は産廃処理の大手として知る人ぞ知る存在だったが、今では海外投資家からESG株として注目されており、海外の機関投資家率が58%(流動株中の比率)と非常に高いのが特徴だ。近年、法改正を背景に業界の再編が進む中、同社ではM&Aによって事業を拡大。連結子会社33社、事業拠点68カ所と、業界において国内最大級の事業規模で展開している。これまで西日本を主軸としてきた同社だが、今後は東日本でのM&A、自治体との連携などにより、更に事業を拡大していく方針だ。
大栄環境-金子 文雄

金子 文雄(かねこ ふみお)

社長

1956年生まれ、兵庫県出身。79年大阪商業大学経済学部卒業後、大栄衛生に入社。大栄環境の創業に携わる。83年三重中央開発取締役、91年大栄環境取締役、2007年三重中央開発代表取締役社長、大栄環境代表取締役社長に就任(現任)。

環境関連事業が主業
ワンストップ処理が強み

大栄環境は、一般・産業廃棄物処理と資源循環を中心に、土壌浄化、廃棄物処理施設の建設・運営、森林保全、バイオマス・バイオガス・太陽光発電、地域へのコンサルティングなど、環境関連事業を幅広く展開している。また有価資源リサイクル事業として、アルミペレットやリサイクルプラスチックパレットを製造。その他、日本女子プロサッカークラブ「INAC神戸レオネッサ」の運営によるスポーツ地域振興やゴルフ場経営なども手掛けている。

同社の2024年3月期の売上高は前期比7・9%増の730億3500万円、営業利益は同18・6%増の197億1400万円。売上・利益ともに過去最高を更新した。

売上高の97%は、環境関連事業によるものだ。主力事業である産廃処理・資源循環では、自治体・製造メーカー・ゼネコン・医療機関から廃棄物を収集。中間処理・再資源化、再生利用できない廃棄物の最終処分までをワンストップで行っている。

「静脈産業(※1)と言われる廃棄処理業界では中小企業が多く、処理プロセス、地域、取り扱い廃棄物ごとに企業が分散しています。産業廃棄物、リサイクル、一般廃棄物、災害廃棄物の4分野を合わせた市場規模は約7兆2000億円です。当社は業界トップクラスの総合力・事業規模・収益性を有していると自任していますが、それでもシェアは1%に過ぎず、拡大の余地は十分にあります。グループで処理プロセスをワンストップで提供できる点、業界問わず多様な廃棄物に対応可能な点、連結子会社33社・事業拠点68カ所で全国に展開しているスケール感が当社の特徴であり強みです」(金子文雄社長)

※1静脈産業:経済活動を動物の血液循環になぞらえた呼称。自然から採取した資源を加工して製品などを生産する産業は「動脈産業」と呼ばれるのに対し、産業廃棄物を処理・加工し原料や製品として再生産して再び社会に流通させる産業を「静脈産業」と呼ぶ。

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