テクノプロ・ホールディングス 【6028・プライム市場】

技術者派遣の最大手
IT人材武器に業績最高更新へ

昨今の人手不足を受け、益々需要が拡大する人材ビジネス。その中で、様々な分野の技術者を正社員として雇用し、顧客企業に派遣する「技術人材サービス」で最大手を誇るのがテクノプロ・ホールディングス(6028)だ。9期連続で増収増益を続ける同社は、中期経営計画の今期目標を1年前倒しで達成した。勢い緩めず、今後もコア事業強化や業務効率化などに注力。前期(2019年6月期)の売上収益1441億円を、3年後の2022年6月期には1920億円まで伸ばす計画だ。
テクノプロ・ホールディングス-西尾 保示

西尾 保示(にしお やすじ)

社長

愛知県出身、名古屋大学卒。1974年日本 長期信用銀行(現・新生銀行)入行。国際興業専務執行役員などを経て、2012年テクノプロ・ホールディングス常務取締役兼CFO兼財務経理本部長に就任。13年、代表取締役社長兼CEOに就任(現任)。

派遣技術者市場はITが牽引
需要大の同分野技術者が多数在籍

市場規模1・8兆円と言われる技術人材サービス市場で、唯一売上収益1000億円超を誇るテクノプロ。日本国内外に営業拠点やリサーチセンター、研修施設など203拠点を保有する。在籍技術者数は、2019年12月末時点で国内外に2万人以上に上る。

─技術者を自社で抱えずアウトソーシングする企業が多い日本では、技術者派遣ビジネスが年々拡大しています。

西尾保示社長(以下、西尾)
技術者派遣とは、様々な分野の技術者を製造業や研究機関などのお客様先に派遣し、研究開発やシステム開発に従事する仕事です。

当社に所属する技術者数は、12月末時点で国内外に2万人。分野別にすると機械や電気・電子、IT、化学・バイオや建設と多岐に渡りますが、実は約半数がIT技術者です。日本におけるIT人材の不足数は2018年で推定22万人でしたが、ニーズの拡大により30年には45万人まで拡大する見込みです。IT系人材はまだまだ不足しているため、今後もIT系を中心に派遣事業は伸びるだろうと思います。

─一方、機械や電気・電子分野などでは技術者のスキルが低いと通用しなくなりつつあると聞きます。

西尾 お客様は高い技術を持った技術者を求めますが、日本国内には限りがある。そのため、需給のミスマッチが起きています。また、製造業は米中の貿易摩擦、昨今はコロナウイルスといった外的要因を受けやすいですよね。他方、ITのニーズは国内需要なので、変動が比較的少ない分野です。

─IT派遣事業は、客先でシステム開発を行うシステムインテグレーター(SIer)と似ていますね。

西尾 我々の事業モデルは、SIerがお客様にも、競合にもなり得ます。SIerはプロジェクト自体を受注し全て自社で管理するため、優れたプロジェクトマネージャーが必要です。一方、派遣事業はお客様の指揮命令下で業務を行うため、マネジメント人材が育ちにくいといった違いがあります。

現在、プロジェクト管理ができるように、と一生懸命リーダーたちを育成しています。
ITの市場は、アウトソーシングだけみても6兆円と言われています。当社の前期における受託開発事業は、売上高が200億円を超えました。これが育てば、将来的には当社もSIerの一角に名前が年々増えている、というのが実態です。

─御社を選ぶ技術者が増加傾向にある要因は。

西尾 当社では教育研修に力を入れて取り組んでいます。中途採用では、当社の教育研修制度を決め手に入社される方が増えています。

一方、新卒採用では「将来データサイエンティストやサイバーセキュリティの分野で活躍したい」と思う方が、当社を志望するようになっています。当社は3年前から、最先端の技術を持った企業と提携した人材育成を行っています。当社から無償で技術者を派遣占められるのではと、こんな思いもあります。

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