ETSホールディングス 【1789・スタンダード市場】

創業100年の送電線工事のパイオニア
再生可能エネルギーへのニーズ増で飛躍へ

大正時代に創業し100年の歴史を有するETSホールディングス(1789)。電気設備工事、送電線工事のパイオニアとして事業を展開してきた。2020年12月に新社長に就任した加藤慎章氏は、中部電力での発電所建設、日本GEでの再生エネルギー発電所の開発投資などの経歴を持つ。SDGsの浸透により再生可能エネルギーを取り入れる企業が急増する今、同社の新たな挑戦に追い風が吹いている。
ETSホールディングス-加藤 慎章

加藤 慎章(かとう のりあき)

社長

1974年生まれ。横浜国立大学大学院、筑波大学大学院修了。2000年中部電力入社、07年日本GE入社、16年ソネディックス・ジャパン(ヴァイスプレジデント)、18年GCLニューエナジー・ジャパン(CEO)を経て、20年ETSホールディングスに入社(営業本部長兼企画部長)、同年代表取締役社長に就任(現任)。

長年の実績が強み、国策も追い風
独自工法で優位性発揮

1922年に創業したETSホールディングスは、電気工事業界のパイオニアとして日本の高度経済成長期以前からインフラ整備に貢献してきた。高度な技術力と専門性の高さから東北電力をはじめとした多くの取引先から信頼を得ている。2020年9月期の売上高は前期比3.3%増の57億円。セグメント別では、鉄塔の基礎工事や組立、架線工事といった「送電事業」が20億1900万円、メガソーラー発電所の設計・施工や、建物の電気設備・情報設備の設計・施工を行なう「設備事業」が30億600万円、子会社による「建物管理・清掃業」が6億7500万円となっている。

「中心事業の送電事業は一朝一夕ではなく、長い経験とノウハウによって信頼を得てきた事業です。需要も多く、今後も大切にしていきたい」(加藤慎章社長)

同社への送電線工事の需要が絶えない要因は2つある。1つは、国内では昭和30〜40年代に建てられた鉄塔が多く、老朽化した鉄塔の建て直しが喫緊の課題となっているという。2つ目は、国が国家プロジェクトとして推進している、広域連系線の強化整備だ。北海道・東北と首都圏を送電線で繋ぐ連系線強化・複々線化対応に関する工事の受注が見込まれる。同社は東北電力と共同開発し特許を取得した鉄塔嵩上げ装置「エナーク160」など独自の工法があり、高い技術力で優位性を発揮している。

「エネルギーを首都圏へ運ぶには、送電鉄塔、送電線、変電所が必要になります。発電所を作っても各電力会社の鉄塔に送電線を連結する工事はリスクが高く、技術力の高い専門企業でないと不安が大きくなります。当社は鉄塔工事を多く手がけてきましたので、電力会社からの信頼を積み重ねてくることができました」(同氏)

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