投資用不動産企画開発・販売が主力 デュアルタップ 【3469・スタンダード市場】

3か年の成長戦略を策定 計画値は「最低必達目標だ」

 デュアルタップの主力事業は、投資用不動産の企画開発・販売だ。創業17年目を迎え、自社ブランドの資産運用型マンション「XEBEC(ジーベック)」シリーズは累計75棟となった。同社は近年、REITや事業法人への大型物件一棟販売が好調だが、一方でそのために生じる業績の波を課題としていた。26年6月期を最終年度とする「3か年計画」では、経営基盤の強化・安定成長へ向けた4つの重点戦略を掲げている。
デュアルタップ-臼井 貴弘

臼井 貴弘 (うすい たかひろ)

社長

1977年7月生まれ、東京都出身。 96年、総合情報通信会社に入社。2000年に不動産売買・仲介会社大手に入社、不動産アセット・プロパティマネジメント事業の営業部門取締役に就任。06年にデュアルタップを設立、代表取締役社長に就任(現任)。海外不動産事業のデュアルタップインターナショナル、デュアルタップ合人社ビルマネジメント、デュアルタップコミュニティの代表取締役、及びマレーシア建物管理会社Dualtap Building Management Sdn. Bhd. のDirectorに就任(現任)。

23区内・駅徒歩10分以内・高機能
資産運用型マンション開発

デュアルタップは売上の84%を構成する不動産販売のほか、不動産管理、海外不動産事業を展開する。不動産販売では、「23区・徒歩10分以内・高機能」の資産運用型マンション「XEBEC(ジーベック)」の企画開発・販売が主軸だ。

23年8月、同社では26年6月期までの3か年の中期計画を発表した。業績目標は、最終年度に売上高95億5000万円、営業利益2億8600万円。課題であったボラティリティを減らし、継続的な増収増益を『必達の最低ライン』と掲げる。

課題とする業績の波には、業界を取り巻く時代の大きなうねりがある。同社上場年の16年は個人による不動産投資が旺盛で、業績も右肩上がりだった。しかし18年に世間を騒がせたスルガ銀行のアパートローン不正融資事件に伴って、融資審査の基準が厳格化。業界にとって大きな転換点となった。同社の業績も減収減益に転じた。個人の不動産投資マインドが低下したことで、同社はREIT(※1)運営会社や事業法人への一棟販売に注力。この転向が功を奏し、22年6月期売上高は107億5600万円と過去最高を更新した。一方、物件の大型化などに伴って諸経費が増え、営業利益は5000万円へ減益となる。23年6月期は売上高86億2700万円に減収したものの、営業利益は約6倍の3億700万円に急回復した。今期は東京都中央区日本橋の本社ビル取得により減益の見通しだが、25年以降は固定費削減及び賃貸収入による収益確保により利益面が大幅に改善される予定だ。

「これまでの業績推移から、単年目標ではステークホルダーの方々に今後の成長をイメージしていただくことが難しいと考え、3か年計画を立てました。この3年は今後の成長に向けた地盤固めの期間です。言わば、ホップ・ステップ・ジャンプの『ホップ』に当たります。そのためには安定した財務基盤が必要ですので、数値目標はあくまでも必達厳守の最低数値に留めています。皆様の信頼を裏切ることは絶対にしたくないので数値に織り込んでいませんが、上振れの材料は当然持っています」(臼井貴弘社長)

※1 不動産投資信託。投資家から集めた資金を商業施設やオフィスビル、マンション、ホテル、物流施設などの多様な不動産に投資し、そこで得た賃料や売却益を分配する金融商品

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