24新中計で見る3つの成長パターン 「新事業」「選択と集中」「全体変化」厳選11銘柄

24新中計で見る3つの成長パターン 「新事業」「選択と集中」「全体変化」厳選11銘柄

Part1「新事業」で成長目指す4銘柄

日本アクア「防水部門」を早期収益化
スミダコーポはグリーンエネルギーで飛躍へ

「新事業」は、企業の今後の成長を大きく占うため、重要な投資判断材料となる。注目すべき4銘柄をとりあげる。

建築断熱用硬質ウレタンフォーム販売・施工の日本アクア(1429)は、「防水部門」の早期収益化に挑む。26年12月期を最終年度とする中期経営計画で、同部門を「戸建部門」「建築物部門」に続く3本目の柱となるよう確立を図る。

同社が手掛けるポリウレア防水の施工業者は規模が小さく限定的だが、欧米では一般的。国内では大雨増加など異常気象への対応や、アスベスト対策を含めたバブル期の建築物の老朽化対策により需要が高いと見て、今後の市場拡大・シェア獲得を目指す。同社製品においては、超速硬化、強い伸縮性、長期性能などの面が差別化ポイントになるという。

新中計の開始前にあたる23年度の防水部門売上高は4億8900万円。これを26年度に25億円まで伸ばす計画。なお全体売上高では、23年度283億4100万円から、26年度410億2100万円まで伸ばす計画だ。

同社の株価は、19~22年途中まで高値が700円台に留まっていたが、足元では991円(24年4月24日終値)まで伸長。新事業効果でさらに飛躍できるか注目だ。

コイル専業大手のスミダコーポレーション(6817)は、「グリーンエネルギー関連」の成長を図る。同社は、自動車・家電製品・産業用アプリケーションに使われる電子部品とモジュールを製造する。グリーンエネルギー関連とは、充電インフラ、太陽光発電、蓄電池等を含む用途群を指す。これらは21~23年度の前中期経営計画で掲げたxEV(電動車)からスコープを広げたものだ。

24~26年度の3カ年の新中期経営計画で、グリーンエネルギー関連の年平均成長率22%を目標に掲げた。売上高目標としては、26年度670億円とした。同年の全体売上目標1900億円に対し、35%以上を占めることを目指す。中でも「xEV─インダストリー(急速充電器等)」部門の売上は、23年度55億8900万円から26年度200億円までの伸長を掲げる。年平均成長率53%と大きく飛躍させる計画だ。

同社の株価は、前中計以前の時代では17年7月に付けた2400円が高値となり、その後、前中計の期間だった20年4月に533円まで落とした。足元では1238円(24年4月24日終値)と半値戻しとなり、回復基調にある。業績で見ると、前期の23年12月期には過去最高売上、過去最高営業益を達成するなど好調だ。現状PBRが1倍割れだが、こうした脱炭素化の取り組みが評価されれば、株価飛躍が期待できそうだ。

日本アクア

スミダコーポレーション

リケンNPR、脱炭素化を強化
サカタインクス、非紙インキ領域も注力

自動車・産業機械部品事業のリケンNPR(6209)は、「ネクストコア事業」の成長を図る。同事業は半導体やカーボンニュートラル対応など成長分野を指す。同事業の売上を、23年度予想58億円に対し、26年度180億円まで伸ばすのが目標だ。

リケンNPRは、23年10月にリケンと日本ピストンリングの経営統合により誕生。このほど24~26年度の3カ年にわたる第一次中期経営計画を発表した。同社では、自動車エンジン向け製品を中心とする既存事業の「ピストンリング事業」、「ベース事業」とともに、「ネクストコア事業」を新しい収益源に育てていく。

ネクストコア事業に含まれる、熱エンジニアリング分野がカギの1つとなる。同分野においては、シンワバネス株式会社を子会社化。半導体製造装置に必要となる発熱体について幅広い用途・温度域の製品ラインナップを獲得し、同社グループが持つ既存リソースと合わせ事業のスケールアップを見込む。

なお同中計における会社全体の売上目標には、23年度予想1670億円に対し、26年度1800億円までの伸長を掲げている。

足元の株価は2995円(24年4月24日終値)。経営統合から日が浅いものの、株価は好調で上昇基調にある。脱炭素化の流れを受けエンジン部品を巡る市場環境が確実に厳しくなる中でも、カーボンニュートラル対応につながる取り組みの進捗によってはさらなる飛躍が期待できそうだ。

印刷インキ大手のサカタインクス(4633)は新規分野への取り組みに力を入れる。26年度を最終年度とする中期経営計画で、協業による新規ビジネスの展開、コアコンピタンスを活用した事業創造に努める。

同中計における全体売上としては、23年度2283億円に対し、26年度2700億円まで伸ばす計画だ。そのうち50億円を新規分野で構成したい考え。戦略キーワードには「低炭素社会」「QOLの向上」などがあり、例えば事業発展領域として「缶用デジタル印刷インキ」や、ヘルスケアとして「植物由来機能性食品素材」などを挙げている。

紙メディアの印刷産業縮小の流れを受け、新規事業の育成は不可欠であるのはもちろんのこと、事業構造改革の推進を遂げられるかが株価飛躍のカギとなる。足元の株価は1553円(24年4月24日終値)。近年では、17年10月に付けた2195円が最高だった。前期の23年12月期には過去最高となる売上・営業益・経常益を計上したことが影響したのか、株価が上昇基調にある。今後どこまで回復・更新ができるか注目だ。

リケンNPR

サカタインクス

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