「スペシャリティ」で高い競争力 飛躍が期待される10銘柄

「スペシャリティ」で高い競争力 飛躍が期待される10銘柄

Part 1
直近業績が絶好調の3銘柄

 

ポンプの酉島製作所 4年連続で売上・営業益を更新

酉島製作所 25mプールを5秒で空に出来る威力
ポンプ専業メーカー、酉島製作所(6363・P・大阪府高槻市)が、4年連続で売上高・営業利益が過去最高と波に乗っている。好調を背景に、現在進行中の中期経営計画「Beyond110」で掲げた最終年度(2029年度)の目標を上方修正。大型特需込みで売上高の年平均成長率6.5%、営業利益率10%以上、ROE10%以上を計画している。

同社が得意とするのは、上下水道施設や発電所などで使われる大型・高圧ポンプ。例えば、大量の水を送るポンプは、25メートルのプールを5秒で空にできるほどの威力を持つ。強い圧力のポンプでは、4200mの高さまで水を上げることができる。こうした技術で台頭し、国内ポンプ専業メーカーとしては、大手3社の一角を担っている。

24年3月期業績は、売上高が前期比25.4%増の811億300万円、営業利益が同15.1%増の68億2200万円。売上高では、海外の大型案件が増収に寄与。なお売上全体の6割が海外であり、これまで100カ国以上に納入実績がある。また利益では、資材や工事原価の高騰により官需の利益率が低下した一方で、民需・海外のハイテクポンプの利益率が向上し、全体としては高水準の売上総利益率を維持した。なお、うちハイテクポンプの売上が全体の4割以上を占めている。
25年3月期予想には、売上高が前期比6%増の860億円、営業利益が同7%増の73億円を掲げる。

電気計測器のHIOKI 売上・営業益が3年連続2桁成長

開発段階から
顧客と伴走するスタイル

HIOKI電気計測器メーカーとして知られる日置電機(HIOKI、6866・P・長野県上田市)は、前期に過去最高となる売上高・営業利益を上げた。また、過去3年間売上・利益ともに前期比2桁成長を続け、勢いがある。

21年度以降、業績が急進した背景には、世界的な脱炭素化の加速がある。特に中国では国策によりEVシフトが推進され、同社の中国での売上は2年で倍増となった。その後中国でバッテリー需要が鈍化する中でも、中国売上は同水準を維持。新たに現地でエネルギー市場を開拓してきたことが、成長に大きく貢献している。

また、世の中でEVシフトに伴う開発や安全確保のため、電気計測が欠かせないものとなる中、同社では電気についての知見が乏しい電池メーカーや完成車メーカーからの引き合いが増えている状況だ。顧客と開発段階から伴走するスタイルが、高く評価されているようだ。

同社の製品ラインナップは300種類を超える。製品群別に見ると、電子部品・バッテリーの検査や品質評価に使われる「電子・測定器」、電気工事・設備の保守点検用の「現場測定器」、電気機器の開発や設備の異常監視用の「記録装置」、スマートフォンや自動車などに使われている電子回路基板などを検査する「自動試験装置」を扱っている。中でも、電子測定器が売上の半分以上を占める。

23年12月期は売上高が前期比13.9%増の391億5400万円、営業利益が同12.5%増の79億5500万円となった。24年12月期予想としては売上高が前期比2.2%増の400億円、営業利益が同0.6%増の80億円を計画。予想通りに達成できれば、同社の売上高は4年で約2倍、営業利益は同じく3.2倍以上という成長ぶりだ。

船舶用エンジンのジャパンエンジン 前期全項目で最高

アフターサービスなど
ストックビジネス強化

ジャパンエンジンコーポレーション船舶用エンジンの専業メーカー、ジャパンエンジンコーポレーション(6016・S・兵庫県明石市)は、前期に売上高・利益の全項目で過去最高業績を上げた。同社製品の「UEエンジン」は、自動車運搬船やコンテナ船など世界中で多くの船舶に採用されている。拠点集約化による生産性向上や、修理などのアフターサービスによるストックビジネスの強化が業績好調につながったようだ。

24年3月期業績は期初想定以上で推移し、通期予想を期中に上方修正するほど好調だった。売上高は前期比37.5%増の209億6900万円、営業利益は同395.1%増の21億8800万円だった。

同社は、三菱重工舶用機械エンジンの舶用機械エンジン事業と神戸発動機が事業統合し発足した。主力である「UEエンジン」は1910年代に三菱重工業が独自開発したMS型ディーゼルエンジンをルーツとしており、舶用低速エンジン唯一の国産エンジンブランドとなっている。統合直後は事業構造改革の推進や、業務オペレーションの見直しなど経営基盤の強化を図っていたことにより、業績はほぼ横ばいだったが、24年3をグローバル展開しており、今後も同事業が成長ドライバーとなる。特に中国マーケットが好調で、台数世界シェア10%を目途付けしている。

その他にも環境対応を軸とした新製品の開発も進め、次世代脱炭素燃料エンジンとなるアンモニア・水素燃料エンジンの製品化が順調に進捗。同製品の社会実装化で業界のゲームチェンジを目論む。
 

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