売上は臨床6割、調剤4割
中計で新事業売上高10%目標
ファルコホールディングスは関西を中心に、業界トップクラスの1万数千件の医療機関と取引する臨床検査受託大手だ。同社では血液や尿、採取された組織片や細胞などから、膨大な項目の臨床検査を請け負っている。
同社は臨床検査の黎明期である1962年に京都で創業した。先行企業が着手していた大病院や研究機関ではなく、診療所をターゲットに顧客を開拓。「翌日に結果報告」という当時では画期的な納期の早さを強みに事業を拡大した。その後、西日本各地で6社を独立創業。99年からは調剤薬局事業に参入し、2004年にチューリップ調剤を子会社化。現在は関西と北陸を中心に109店舗を運営している。23年3月期業績は、売上高469億1300万円(前期比6・2%減)、営業利益は30億7500万円(同44・0%減)。売上構成は臨床検査事業(ゲノム・ICTの新事業含む)が66%、調剤薬局事業が34%となった。
直近4カ年は新型コロナウイルスのPCR検査による特需が発生。特に22年は、24年を最終年度とする中期経営計画の最終目標「売上高450億円・営業利益30億円」を上回った。しかし業界全体の動向と同様に、コロナの沈静化により検査単価は低下し、受託数は減少。同社の業績もその影響を大きく受けた。
また、今後も臨床検査・調剤ともに国の医療費削減方針による診療報酬・薬価の引き下げが見込まれ、業界全体で徐々に収益力は低下の傾向。厳しい環境下にある。同業他社との競争も激しくなってきたことから、同社では新たな収益確保を模索してきた。
「主力2事業が厳しい事業環境にある中、当社では収益性・成長性の高いゲノム・ICT事業を新たな収益基盤とするべく、事業構造の転換を進めています。新事業は順調に伸びており、中期経営計画の目標『新事業による売上高10%』は達成を見込んでいます」(安田忠史社長)
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