地主 【3252・プライム市場】

土地だけに投資「JINUSHIビジネス」展開 1800億円規模の底地特化REIT運用

自ら建物を立てず、土地のみに投資する「JINUSHIビジネス」を専業で展開する地主(3252)。同社グループ会社が設立した底地特化型リートは、運用資産規模1800億円を誇る。転用性の高い土地を仕入れることで、特定のテナントに依存しない安定性を発揮している。2026年12月期の当期純利益70億円を目指す。
地主-西羅 弘文

西羅 弘文(にしら ひろふみ)

社長

1974年8月生まれ、奈良県出身。98年甲南大学法学部卒、同年4月兼松都市開発株式会社入社。2000年地主入社。05年 取締役開発営業部長。05年取締役開発営業本部長。07年常務取締役東京営業本部長。12年常務取締役投資運用本部長、16年地主アセットマネジメント代表取締役社長。22年地主代表取締役社長COOに就任。23年地主代表取締役社長就任(現任)。

転用性の高い土地を仕入れ
テナント退去しても他に貸せる

同社のビジネスモデルは、まず土地を取得し、スーパーやドラッグストア、ホスピス、老人ホームなど多岐にわたるテナントと長期の定期借地権設定契約を締結。借地料収入を得る。その後、同社のグループ会社が2016年に設立した「地主プライベートリート投資法人」(以下 地主リート)などへ土地のみを売却し、投資家の資金を運用する。

同社の収益は主に賃貸借地料収入、土地の売却益、地主リートの運用益の三つ。

地主リートは、国内唯一の底地特化型私募リートだ。運用資産は1800億円、分配金利回りは4%程度。同社からの仕入れは全体の約65%だ。

同社の底地の開発実績は累計318件、約4342億円に上る(23年6月末時点)。

土地の仕入れでは転用性を重視する。仮にテナントが撤退しても後継テナントの誘致や、第三者への売却が容易かどうかを見極める。そのため、人口動向や足元商圏、道路付け、周辺環境などを検証し、判断している。

「転用性が高ければテナントがいなくなっても他に貸せます。特定のテナントに依存しなくてよい」(西羅弘文社長)

同社によれば「JINUSHIビジネス」の強みは、以下の点が挙げられるという。

・土地のみに投資するため、建物の建設・所有に係る負担はテナントがもつこと。同社による保守、修繕、改装などの追加投資は不要だ。

・契約期間は20~50年と長期にわたり、平均して30年ほどだ。建物はテナントが投資するため退去リスクが低く、長期安定収益が見込める。

・定期借地権設定契約によりテナントには更地での返還義務がある。更地は流動性が高く、資産価値が下がりにくい。

2022年12月期連結業績は、売上高は498億8700万円(前期比11・2%減)、営業利益は64億1100万円(同17・1%増)で着地した。

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