23年は上場以来最高売上
今期は利益が黒字転換予想
同社はiPS細胞を使った「研究支援」「メディカル」の2事業を展開している。
売上の68%を構成する「研究支援」の顧客は、大学や公的研究機関、製薬会社だ。同社では細胞などの「研究製品販売」、iPS細胞作製受託などの「研究サービス」「細胞測定機器の提供」を行なっている。
「現在、世界中の製薬会社で動物実験からヒト細胞実験へのシフトが進んでおり、当社でもその流れを汲んで事業を進めています。たとえば製薬会社がアルツハイマーの新薬開発を行なう際、マウスではなく患者の血液から作製したiPS細胞で治験をするようになってきました。当社ではそういった場で使用するiPS細胞を作製し提供しています。技術的な優位性がありますので、iPS細胞作製や、iPS細胞からの神経細胞作製、創薬試験受託などを一貫して提供できる点が強みです」(横山周史社長)
売上の32%を占める「メディカル事業」は、再生医療分野が中心だ。再生医療とは、病気やケガで失われた組織や臓器に対し、人為的に作成した組織や細胞を移植することで欠損した組織や細胞を再生させる治療のこと。同社では「再生医療製品の研究開発」のほか、再生医療製品研究の出発材料となるiPS細胞を製薬会社に提供する「臨床用iPS細胞の製造販売」「再生医療製品の受託製造」「臨床検査受託」を行なっている。
「成長戦略はハイブリッド戦略で、研究支援は短中期型、メディカルは中長期型です。一般的に臨床開発だけでは開発期間中の売上が立ちにくいものですが、当社では研究支援で収益を立て、その利益をメディカルの臨床開発に充てています。また研究支援で培った技術を臨床開発に応用している点も特徴です」(同氏)
23年3月期は研究支援事業が好調に推移し、売上高が上場以来最高額の29億5300万円(前期比32・2%増)、営業損失は3億5600万円(前期は6億4700万円の損失)で着地した。24年3月期は、売上高30億4800万円(前期比3・2%増)、営業損失1億1000万円、経常利益・当期純利益は黒字転換し、11期ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。
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