工具など工場用副資材の専門商社 トラスコ中山 【9380・プライム市場】

在庫・物流・システムに30年投資し供給体制を構築
4期連続増収増益、2024年問題も追い風に

「がんばれ‼︎日本のモノづくり」を企業メッセージに掲げるトラスコ中山は、モノづくりの現場で必要とされる工具など工場用副資材を扱う専門商社だ。同社を率いるのが、「取捨善択」「教科書にない経営」など独自の経営哲学を数々生み出す、二代目社長の中山哲也氏だ。社長就任から30年間にわたり、在庫拡充・物流構築・システム活用を推進。2024年12月期は4期連続増収増益を達成し、物流2024年問題も追い風に業績を伸ばしている。従来の卸売業のやり方にとらわれず、顧客の利便性を追求し成長している。
トラスコ中山-中山 哲也

中山 哲也(なかやま てつや)

社長

1958年生まれ、大阪府出身。近畿大学商経学部卒業後、81年に中山機工(現・トラスコ中山)入社。84年取締役。87年常務取締役。91年代表取締役専務取締役。94年代表取締役社長(現任)。公益財団法人中山視覚福祉財団理事長。

機械工具業界最後発の問屋がトップへ
「日本の製造業に役立つ」を使命に成長

国内外に拠点96カ所

モノづくりの現場では、作業工具をはじめ、切削工具、測定工具、接着用品、物流機器、安全保護具など、想像以上の副資材を必要とする。トラスコ中山は、これら「プロツール」を、国内外のメーカー3600社から仕入れ、機械工具商、ネット通販企業、ホームセンターなど5600社の得意先に販売している。商品登録アイテム数は700万アイテムに及び、プロツールの専門商社としては、業界トップの売上高を誇る。

同社には4つの販路がある。機械工具商などを通じて工場や建設現場などへ届ける「ファクトリールート」、ネット通販企業を通じて工場や一般消費者へ届ける「eビジネスルート」、ホームセンターやプロショップを通じて一般消費者へ届ける「ホームセンタールート」、そして「海外ルート」だ。

2024年12月期業績は、売上高が2950億2400万円(前期比10%増)、営業利益が199億7800万円(同7・9%増)と、4期連続の増収増益となった。販路別での売上高比率は、ファクトリールートが66・8%、eビジネスルートが23・1%、ホームセンタールートが9・1%、海外ルートが1・0%。ファクトリールートがメインの販路と言えるが、近年はモノタロウやアマゾンなどに販売するeビジネスルートが伸びている。


現在、国内外に96カ所の拠点を構える。そのうち本社が2カ所、国内営業拠点が59カ所、物流拠点が28カ所、海外拠点が7カ所となる。国内では約300台の配達便が配送ルートを巡っている。

カタログ発刊やPB商品も

同社は、1959年に中山哲也社長の父・注次氏が創業した機械工具卸の「中山機工商会」が源流だ。

機械工具業界では最後発の問屋として出発したなか、業界の常識の枠にとらわれない商品構成や、業界内で珍しかった総合カタログの発刊、プライベートブランド商品の開発により売上を伸ばした。80年代には全国に事業所を展開し、ホームセンター業界に進出。89年には株式公開を実現した。


94年に哲也氏が、父から引き継ぎ社長に就任。社名をトラスコ中山に変更した。初の物流センターを九州に開設し、本格的に物流強化を図っていく。そして96年には東証・大証一部への上場を果たした。

哲也氏が社長就任3日目に決めたのが、のちに同社の企業メッセージともなる「がんばれ‼︎日本のモノづくり」だ。以来、その言葉通りに日本の製造業の役に立つことを使命に、顧客の利便性を追求し続けている。

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