フィード・ワン 【2060・プライム市場】

国内一般企業トップの配合飼料メーカー 売上高連続過去最高更新見込む

 畜産用配合飼料において、JA全農を除いた民間企業で国内トップシェアのフィード・ワン。2023年3月期に続き、24年も売上高の過去最高更新を見通している。販売数量が伸びているほか、平均販売価格も大幅に上昇していることが要因だ。23年は原価上昇幅に価格改定が追いつかず減益となったものの、24年は更なる価格改定で営業利益は前期比2.5倍を見込む。このインフレは同社にとって追い風となり得るのか。業界動向や今後の展望について、庄司英洋社長に話を聞いた。
フィード・ワン-庄司 英洋 

庄司 英洋 (しょうじ ひでひろ)

社長

1964年12月生まれ、東京都出身。88年東京大学農学部卒業後三井物産に入社。飼料製品や畜産物の販売、穀物・砂糖などの貿易に携わる。同社食料本部食糧事業部長、食料・流通事業業務部長などを歴任。2020年フィード・ワンに上席執行役員経営企画部長として出向。経営全般、海外展開、基幹システム導入プロジェクトに携わる。21年常務執行役員経営企画部長兼水産飼料部副管掌、22年代表取締役社長に就任(現任)。

飼料と食品の2軸展開
技術力で畜産業に貢献

フィード・ワンは、売上の85・8%を占める「飼料事業」と、同13・4%の「食品事業」を展開している。

中核の飼料事業では、牛・豚・鶏の畜産用飼料や、水産用配合飼料の製造・販売を行なっている。同社では畜産飼料の国内飼料流通量のうち15%の360万トンを供給しており、JA全農を除いた一般企業ではトップシェアだ。また水産飼料は10万トンの供給で業界2位である。

畜産向け事業の特徴として、飼料供給にとどまらない顧客へのサポートが挙げられる。同社は業界で初めて乳牛用ゲノム解析サービスを導入。遺伝をもとにした飼料設計や農場環境改善などを通じて経営をサポートするトータルコンサルティングサービスが評価を得ている。水産では、高付加価値製品として魚粉に依存しない低魚粉飼料のほか、2023年8月には無魚粉飼料を販売開始。また高い技術力を要する稚魚用飼料の売上は10年で4・9倍に拡大している。

「当社では、顧客である畜産農場や養殖業者の収益性向上や労力削減へ、イノベーションで貢献することに存在意義を感じています。国内の飼料流通量は横這いですが、実は畜産物の量は増えています。これは種の改良に加え、飼料の改良によって国内畜産物の能力が高まったということ。今後も最新技術により、顧客の現場価値を高めるサポートをしていきたい」(庄司英洋社長)

食品事業では、食肉・鶏卵・水産物を3本柱とし、生産から販売までのフードバリューチェーンを構築している。強みは飼料メーカーならではのネットワーク。全国の生産者と提携し、グループ会社・提携工場を通して大手量販店や外食チェーンへ品質の高い商品を提供している。
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