空調・給排水・電気工事主力
半導体工場・データセンター等の受注約6割
ダイダンは、古くは住友総本店や日本武道館、関西国際空港旅客ターミナルビル、近年では長野オリンピック記念アリーナや羽田空港第二旅客ターミナル、東京駅前のJPタワーなど、創業から120年以上にわたり数々の大型施設の設備を手掛けてきた。
同社は1903年に大阪で創業。空調・衛生工事を主力とする大手設備工事会社の中では、高砂熱学工業、新菱冷熱工業に次ぐ業界3位に位置する。現在は大阪と東京の2拠点に本社を構え、売上の約6割を東日本の案件が占める。
2024年3月期の業績は、連結売上高1974億3100万円(前期比6・2%増)、営業利益108億7700万円(同29・1%増)。コロナ禍以降、過去4年間で売上は拡大している。事業別売上高比率をみると、空調・給排水衛生工事の「管工事」が84%と「電気設備工事」が16%となった。
国土交通省の「令和5年度の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)」によると、建設会社大手50社の受注高でみる建設市場は、この3年間で約3兆円の伸びを見せた。比例して、ダイダンの売上高も増加している。
加えて同社が売上を伸ばした背景には、材料費、人件費の高騰のほか、半導体、車載用蓄電池、データセンターの市場拡大がある。
「半導体の製造過程では高性能クリーンルームの技術、車載用蓄電池の製造においてはドライルームの技術、そしてデータセンターはサーバーの熱を抑える大規模な空調技術が必要になります。そのため、高度な技術を持つ当社に直接依頼が来る状況となっています」(山中康宏社長)
これらに関連する「産業施設工事」の受注高は、23年3月期の912億円から、24年3月期には1452億円に伸長。全受注高の57%を占めるまでになった。
「それに伴い直接受注の比率も、直近の25年3月期第2四半期には53・1%まで増加しました。工場は設備の比率が高いため、直接受注することが多い。例えば半導体メーカーのラピダスさんからは直接お声掛けをいただいています。こうした工事は街中の再開発に比べて利益率が高い案件ですので、計画的に増やしています」(同氏)
一方で、ストックビジネスとなる既存施設のリニューアル工事は、例年全体の3~4割を占める。
「リニューアルは今までの信用で勝ち取っている仕事ですから、ある意味競争がありません。産業施設工事の増加とリニューアルをある程度維持する形で、利益を確保しようという計画です」(同氏)
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