懸架ばねからHDD用サスペンションまで
複数の製品でグローバルトップシェア
同社は、神奈川県に本社を置き、ばねや関連製品の製造・販売を行う独立系の部品メーカーだ。自動車用懸架ばねやシート、電動車用モーターコア、カーエレクトロニクス向け金属基板などの自動車関連製品で売上高の約8割を占める。加えてHDD(ハードディスクドライブ)用サスペンション、ばねの特性を利用したゴルフのスチールシャフト・金属バット、船舶製品・半導体装置向け部品など、製品ラインナップは多岐にわたる。
セグメントは、祖業の懸架ばねなどを扱う「懸架ばね事業」、自動車用シート等の「シート事業」、電動車向けモーターコアなど精密部品などの「精密部品事業」、半導体プロセス部品や金属基板などを扱う「産業機器ほか事業」の4事業だったが、今期は「精密部品」に含まれていた「DDS(Disk Drive Suspension)事業」を分離し5事業とした。
「当社の超精密加工技術を活用したHDD用サスペンションは、世界トップで50%超のシェアを有しています。データセンター向け高容量HDD需要が急増する中、HDD用サスペンションを扱う事業が見えにくいという声が多かったのです。これからも伸びていく事業として、セグメントを独立させました」(吉村秀文副社長)
24年3月期の事業セグメント別の売上高構成比は、懸架ばね事業が22・3%、シート事業が42・3%、精密部品事業が12・3%、DDS事業が8・8%、産業機器ほか事業が14・3%。
営業利益構成比は、懸架ばね事業が4・6%、シート事業が55・2%、精密部品事業が1・9%、DDS事業が18・6%、産業機器ほか事業が19・7%(下図参照)。
直近の25年3月期第2四半期の連結売上高は、前年同期比8%増の3912億3000万円、営業利益は約2・9倍となる229億4900万円の大幅増益。業績好調により、通期業績の営業利益を20億円増額の500億円に上方修正。従来の8期ぶりの過去最高益予想をさらに上乗せさせた。これらにより、同社の25年3月期予想は、売上高8000億円、営業利益500億円を見込んでいる。
自動車関連製品の顧客は、売上高別でSUBARUグループが18%、日産グループ16%、トヨタグループ13%、いすゞグループ7%など国内の自動車メーカーに広く納入実績を持つ。
「当社の懸架ばねは、国内ほとんどのカーメーカーに採用されており、世界でも、ドイツのムベア(Mubea)社と双璧を担っています。シートは、骨格(フレーム)だけ納める場合と、表皮から全部やらせていただく場合があります。特定のメーカーに依存せず、求めに応じて全方位に製品を提供できる技術力が、当社の特徴です」(同氏)
また日系メーカーの海外進出に合わせ、現地で海外拠点を設立。現在、北米・中南米8社、アジア20社、ヨーロッパ3社の海外31社と、国内23拠点でグループのネットワークを構築している。売上高比率では、アジア約24%、欧米ほかが約19%と、海外向けが43%を占めている。
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