人工歯・研削材の国内トップ 松風 【7979・プライム市場】

グローバル戦略奏功し海外売上が国内を逆転
強みの品質を武器に28年売上高500億円へ

創業102年の松風(しょうふう)は、これまでに数多くの世界初製品を生み出してきた歯科材料・機器メーカーだ。品質の高さに定評があり、人工歯と研削材で国内トップシェアを誇る。海外展開は1970年代から進め、2022年3月期に初めて海外売上比率が国内を上回った。24年3月期業績は、売上高・利益ともに3期連続で過去最高を更新。足元では24年4月からの中期経営計画が進行中で、最終年度の28年3月期に売上高501億円(国内187億円、海外314億円)を目指す。
松風-髙見 哲夫

髙見 哲夫(たかみ てつお)

社長

1960年6月生まれ、京都府出身。京都産業大学卒業後、83年に松風入社。営業部長、執行役員営業部長兼東京支社長、取締役常務執行役員営業担当などを経て、2022年に代表取締役社長 社長執行役員に就任(現任)。

歯科にまつわる製品を広く展開
海外好調で売上・利益率拡大中

松風は、歯科治療に用いる材料・機器の総合メーカーだ。歯科材料では、人工歯や研削材、歯の修復に用いるレジンなどの化工品類、セメント類など、治療・技工で必要な材料を幅広く展開。代表的製品である人工歯や研削材は歯科医療・技工の教育現場で教材として採用されるなど、品質面で高く評価されている。また、診療で用いる歯面清掃スケーラー、技工分野では口腔内のスキャン・データ作成・レジンの削り出しにより被せ物を作成するCAD/CAMシステムなどの機械器具も扱っている。

国内歯科材料市場での順位は、最大手のジーシー(未上場・東京都文京区)に次ぐ2位。中でも、人工歯は国内シェア37・0%、研削材は同46・3%で、いずれも1960年代からトップシェアを堅持している。また近年注力している樹脂製品(充填修復用レジン)では、ソルベンタム(旧3Mヘルスケア事業)、クラレノリタケデンタル、トクヤマデンタル、ジーシーなど、いずれも同程度のシェアを持つ企業が乱立しており、同社も含めて国内上位を争っている。

2024年3月期業績は、売上高が前期比10・7%増の350億8000万円、営業利益は同23・1%増の47億900万円と、ともに3期連続で過去最高を更新した。その背景にあるのが、海外市場の伸長だ。海外進出開始は1970年代だが、2012年に海外事業拡大を目指す長期ビジョン「500億円構想」を策定。以降、経営資源の配分を大きく海外にシフトした。

「12年以降は、グローバルでの販売網・販売拠点の整備、海外生産の拡大、国内外学術ネットワークの構築を精力的に推進してきました。取り組み開始から10年が経った22年3月期には初めて海外売上が国内を上回り、24年3月期の海外売上比率は57・5%まで伸長しています。海外では樹脂製品を主力に販売しており、同製品は利益率が高い。海外売上比率が高まる程、利益率も伸長しています。22年3月期からは営業利益率が10%を超え、24年3月期の利益率は13・4%となりました」(髙見哲夫社長)

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン SEARCH