物質の表面を操る化学製品群
高シェアの電子向け・高利益の自動車向け擁する
「界面化学」とは、物質と物質の境目で生じる現象に関する化学のこと。物質の表面が濡れたり、接着したりするのが一例だ。石原ケミカルは、この界面化学を用いた化学品を開発している。
2024年3月期業績は、売上高が前期比1・8%増の207億500万円と過去最高。営業利益は同8・9%増の23億2800万円、営業利益率は11・2%だった。売上高をセグメント別に見ると、「金属表面処理剤・機器等」が51%、「電子材料」が3%、「自動車用化学製品等」が17%、「工業薬品」が29%となる(下図参照)。
売上が最も大きい金属表面処理剤・機器等事業の主力製品は、「電子部品用めっき液」だ。めっき液は金属イオンが溶け込んだ液体で、主に電気的に対象物の表面に金属を析出させることにより、表面にあらゆる機能を付加できる。
同社が得意とするのは「錫(スズ)」を使っためっき液だ。錫は耐食性に優れ、融点が低く、柔らかいなどの特性を持つ。このめっき液はPCやスマートフォン、テレビ、自動車などに内蔵される半導体の電子部品と、プリント基板を接合する用途で使われる。同社の「鉛フリー錫及び錫合金めっき液」は、国内トップシェアを誇る。さらに、めっき液の濃度などを管理する分析装置も展開する。
電子材料事業では、セラミックスや樹脂を使った製品などを展開する。
自動車用化学製品等事業は、売上は全体の17%に留まるものの、セグメント利益率は26%と高いのが特長だ。同事業では「ユニコン」ブランドやOEMで、自動車用のエアコン洗浄剤や整備用ケミカル製品、ボディコーティング剤、洗剤などを展開。一般消費者向けではなく、ディーラーや整備工場などの業務用に特化している。自動車アフターマーケットのBtoCにおいてはプレイヤーが多いが、BtoBで法人顧客と関係を密にすることで、価格競争にさらされにくい体制を築いた。
祖業にあたる工業薬品事業では、製鉄メーカーや重工メーカーなどに向けて、化学薬品の仕入れ販売を行う。
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