売買代金/日は2年9カ月で
680万円→7180万円へ
東証プライム上場の高島にとって、東証市場再編は大きな転換点となった。移行基準日の21年6月末、同社の流通株式時価総額は47億9000万円、一日当たりの売買代金は680万円であり、プライム市場の上場維持基準(流通株式時価総額100億円、売買代金2000万円/日)を満たしていなかったためだ。
プライム残留を選択した21年9月以降、同社では適合計画書を作成。「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の実施」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」を基本方針に掲げた。
「資本配分方針」では営業キャッシュフロー、現預金58億円に加え、有利子負債などの外部資金を原資に、投資戦略、株主還元、財務戦略への配分を計画。投資戦略では、M&A、工場・設備投資、人財投資、IT投資など、注力領域を中心とした70億円規模の投資枠を設定した(23年12月には150億円への拡大を発表)。
「株主還元策の実施」では、総還元性向50%を掲げ、連結配当性向40%以上、機動的な自己株式取得・消却、総還元額の下限を5億円に設定した。財務戦略では、資本効率性指標をROE8・0%、ROIC6・0%とし、財務レバレッジの向上を目指す戦略を立てた。
「投資リターンを伴う持続的な利益成長」では、投資効率を意識した事業構造改革、カーボンニュートラル社会への移行を契機とする事業機会への戦略的アプロ―チを基本方針とした。
「IR体制の確立」では、IR専門部隊の設置、投資家目線でのウェブサイト再構築、会社として初めての統合報告書発行、決算短信や説明会資料の英文開示、投資家との面談やイベントへの参加を計画した。
「コーポレートガバナンス・コードへの対応」では、サステナビリティ経営の更なる推進、事業ポートフォリオの整理、政策保有株式の縮減などを基本方針に掲げた。
数々の施策により、移行基準日から2年9カ月後の24年3月末には売買代金が7180万円/日となり、流通時価総額を含めた上場維持基準をクリアした。次号では取り組みの進捗についてお伝えしていく。
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