比較・情報サイト運営、ゲーム開発 エイチーム 【3662・プライム市場】

デジタルマーケ技術活かし、BtoBへ戦略強化
100億円のM&A投資で、法人サービスを拡充

名古屋地盤のエイチームは、「引越し侍」などのサイト運営や、「ダークサマナー」といったゲームアプリ開発などを手掛けるIT企業。2012年に東証マザーズに上場すると、史上最短の233日で東証一部へ市場変更するなど話題になった。しかし近年は、ゲームの不振から業績が低迷。売上高は18年7月期に376億7400万円と過去最高を記録したが、24年7月期は239億1700万円だった。再浮上に向けた施策が、法人向けの「売上向上支援カンパニー」への転換だ。培ってきたデジタルマーケティング技術を活かし、これまでのBtoCから、BtoBへ大きく形を変えようとしている。
エイチーム-林 高生

林 高生(はやし たかお)

社長

1971年生まれ、岐阜県出身。小学5年生からプログラミングを始める。小学3年生の時に父親が他界したことから、中学卒業後は新聞配達店での住み込み勤務などのアルバイト生活を送った。95年に知人とソフトウェア開発会社を設立。97年6月、25歳で個人事業としてエイチームを創業し、ソフトウェアの受託開発を開始。2000年、有限会社エイチーム(現:株式会社エイチーム)を設立し、代表取締役社長に就任(現任)。

売上構成7割がウェブサービス運営
ゲーム開発は2割、EC1割

同社の2024年7月期業績は、売上高が239億1700万円、営業利益は5億6200万円(営業利益率は2・4%)。売上高をセグメント別にみると、「デジタルマーケティング事業」(※1)が8割、「エンターテインメント事業」が2割となる。

デジタルマーケティング事業では、「メディア・ソリューション」と「D2C」の2つのサブセグメントを設定。売上の7割を稼ぐメディア・ソリューションでは、約20の比較サイト・メディアなどを運営する。そのうち、引越し業者の比較・予約サイト「引越し侍」、車査定・買取サイト「ナビクル」、結婚式場情報サイト「Hanayume(ハナユメ)」などは、いずれも各業界で国内シェアトップクラスのウェブサービスとなる。これらは個人ユーザーの送客により、顧客企業から紹介手数料や成功報酬を受け取るビジネスモデルだ。

一方D2Cでは、化粧品やドッグフードなどの定期販売モデルのECサイトを運営。売上高の約1割を担う。

エンターテインメント事業では、230の国と地域にゲームを配信。「ヴァルキリーコネクト」や「ユニゾンリーグ」、「ダークサマナー」といったゲームを展開する。同セグメントの収益は主に、ユーザーのゲーム内課金によるものとなる。新技術を取り込みながら22年間に亘ってゲームを制作してきた開発力に加え、長年国内外に配信してきたことによるプロモーションやローカライズといったノウハウが強みだ。

※1 デジタルマーケティング事業:同社では25年度にセグメント変更を行っており、旧「ライフスタイルサポート事業」及び「EC事業」の合算を「デジタルマーケティング事業」の売上構成比として記載

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