ディア・ライフ 【3245・プライム市場】

大型物件増加で事業スケール拡大
企業価値の最大化図り積極投資進める

首都圏の投資用マンション・土地・商業施設などを開発、販売するディア・ライフは2022年9月期に業績過去最高を更新した。売上高が前期比約2倍の519億円、営業利益も約1・5倍の57・3億円へと躍進。好調の要因は、順調な仕入れ・販売と大型案件の増加という。今年度からスタートする新中計では現在の経常利益約57億円から25年9月期に100億円を目指し、更なる事業拡大を図る。
ディア・ライフ-阿部 幸広

阿部 幸広(あべ ゆきひろ)

社長

1968年2月福岡県生まれ。早稲田大学商学部卒業。90年ニチメン株式会社(現双日株式会社)に入社し、東京を中心とした不動産開発に従事。2004年同社退社後、同11月、株式会社ディア・ライフ設立。

厳選した好立地案件
多様な出口戦略

ディア・ライフは単身者・DINKS向けハイグレードマンションの開発や、商業・オフィスビルなどへ投資する不動産ディベロッパーである。事業セグメントは主力の不動産を扱うリアルエステートと、人材派遣のセールスプロモーションの2つ。売上高構成比はリアルエステートが9割超、セールスプロモーションが1割だ。
 
同社は都内物件を手掛けており、23区内物件が全体の約97%を占める。23区内でも千代田区・新宿区・中央区などの都心5区で約30%、その5区に文京区・品川区などを加えた都心16区が全体の80%強となる。しかも最寄り駅から徒歩10分以内が約98%(うち、5分以内は59%)と好立地物件のみを扱う(22年9月期)。
 
この厳選した好立地物件の仕入れこそが、独自のビジネスモデルの基盤だと阿部幸広社長は言う。
「私たちが特に強いエリアは千代田区と新宿区です。社員数が少ないので、効率的に仕入れています。当社の特徴は物件を“最初から販売目的で買わないこと”です。不動産には、どうしても売れないというリスクがある。売れないときは自社で持つしかないのですが、当社は自社が持ちたいから買うというスタンスで物件を精選し、仕入れております」(阿部幸広社長)
 
自社運用物件として買うことでリスクを減らし、結果的に顧客も欲しくなる物件となるのだ。無理に販売しないため同社にはセールス専任の社員はおらず、顧客からの引合いに応じて売却している。
「当社は不動産、マンションや商業施設用地の仲卸のような存在だと思っています。顧客には、物件や土地は信頼できる相手と売買したいという希望がある。例えば当社が瑕疵(かし)のある物件なども調査・改善して一旦買い、価値を保障することで顧客が安心して購入できるようになることもあります」(同氏)
 
買い手は法人・個人と物件の金額によって多様で、同社は柔軟に対応している。特定の顧客に依存しない点も強みの一つだ。

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