社会に不可欠な「インフラのインフラ」
世界60カ国で重要設備を設計・建設
同社は、石油・ガスや電力、肥料、医薬などの生産工場である「プラント」を設計・建設する「プラントエンジニアリング」専業会社だ。プラントで生産されるものはいずれも社会を支える重要物資のため、同業種は「インフラのインフラ」とも呼ばれる。東洋エンジニアリングは、これまで世界60カ国以上で3000基以上のプロジェクトに携わってきた業界大手である。
プラントエンジニアリングは、プラント設計(Engineering)から機器の調達(Procurement)、建設(Construction)、そして試運転までを一括で請け負う「EPC」ビジネスを主業とする。顧客は石油メジャーや化学会社、電力会社、国営企業など大手で、工期は約2~5年。1基当たりの受注額は数十億~数千億円と、規模が大きいのが特徴となる。
東洋エンジニアリングの2024年3月期売上高は2608億2500万円。商品別に分けると、バイオマス発電所などを手掛ける「発電・交通システム」が28%と最も多く、原油などから化学品を製造するプラントを建設する「石油化学」が24%、原油や天然ガスの精製プラントを建設する「石油・ガス」が19%、アンモニアや尿素などを製造するプラントを建設する「化学・肥料」が19%となる。特に、尿素分野では独自のライセンス技術を保有しており、これまで手掛けたプロジェクトは100件以上に上る。
また、世界中を商圏とするのも特徴のひとつ。同社の売上高を地域別に分けると、日本が約半分で、残りは東南アジアやインド、中国、アフリカなどとなる(下円グラフ参照)。
世界各地のプロジェクトに対応するため、同社が進めてきたのが「現地化」だ。同社はインドやインドネシア、中国、ブラジルなど国外7カ国で、EPC事業を行える拠点を持つ。これらの国々は人口が多いため、優秀なエンジニアを採用しやすく、かつ市場成長性も高い。更に、各拠点では現地の法規制や建設事情などにも精通するため、高い競争力を発揮できるという。
「例えば、インドには約50年前から拠点があります。インド技術者の質の高さや市場の将来性を考慮して先駆けて進出し、年月をかけて設計手法や技術を移転しました。今では、複雑なエチレン、アンモニア、尿素などのプラントを独力で設計して建設できる実力を持ちます。地域に根差し顧客としっかり関係を作り、収益を上げる拠点を世界各国に有するビジネスモデルは、同業他社と比較して優位性があります」(細井栄治社長)
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