和の加工食品扱う「久世福商店」149店舗展開 サンクゼール 【2937・グロース市場】

企画から一気通貫「食のSPAモデル」構築 さらなる米国事業強化で海外比率50%目指す

 サンクゼールは、ワインやジャムなど長野県発の洋風グロッサリーを扱う「サンクゼール」、各地の和の加工食品を扱う「久世福商店」、新業態「メケル」を展開し、自社ブランドを中心とした加工食品の製造・販売を行う。販売チャネルも直営店・FC・EC・ホールセール・海外と多岐にわたる。コロナ禍での構造改革期を経て売上高・営業利益ともに急成長し、2022年にグロース市場に上場した。24年3月期は売上高が前期比10.3%増の197億1100万円、営業利益は同5.1%増の16億8100万円と引き続き好調を見込む。ポテンシャルの高い米国事業に注力し、海外比率を近い将来50%まで上げることを目指す。
サンクゼール-久世 良太

久世 良太(くぜ りょうた)

社長

1977年生まれ、長野県出身。2002年、セイコーエプソン入社。2005年に斑尾高原農場(現サンクゼール)に入社し、2008年に経営サポート部部長、2017年に代表取締役社長に就任。その後、2018年にサンクゼール代表取締役(現任)、St.Cousair Oregon Orchards,Inc.(現St.Cousair.Inc.)非常勤取締役に就任(現任)。

3年間で営業利益約4倍に
今期も増収増益と好調続く

同社の2023年3月期は前期比26・1%増の178億6500万円、営業利益は同21・5%増の15億9900万円と増収増益だった。好調な業績の背景には、18年3月期から20年3月期にかけて行った構造改革がある。

「まず、コロナ禍で業績が悪化した都市部や観光地の店舗を戦略的に撤退し、高採算店舗のみに集約しました。17年に設立したアメリカ・オレゴン州の子会社でスタートしている米国事業ではコスト抑制を行いました」(久世良太社長)

展開する主なブランドは洋風のグロッサリーを軸とし、16店舗(23年9月末現在)を構える「サンクゼール」。そして和の加工食品を扱う「久世福商店」だ。日本全国の大型商業施設への出店を中心に149店舗(23年9月末現在)まで成長しており、商品数は約1000アイテムに上る。健康意識の高い50~60代、30~40代の女性を中心に人気が高い。また、今年9月には、サンクゼール、久世福商店にはない「主食を販売できるブランド」として新業態「MeKEL(メケル)」1号店を長野市内にオープンした。冷凍食品とアジアを中心とした輸入食材を扱う。売上は想定の1・5~2倍のペースで伸びている。日本全国のロードサイドを中心に、人口から算出して400店舗以上の出店見込があるという。

また米国事業では「飲む酢」シリーズなどのヒット商品、米大手小売チェーンとの取引開始などで売上が拡大し、黒字化に成功。21年3月期から23年3月期までで売上高は約65%上昇、営業利益も4倍近くに急成長した。

24年3月期は売上高197億1100万円、営業利益16億8100万円を見込む。

3ブランド全体で166店舗、うち7割がFC店

同社ではFC展開を積極的に進めている。サンクゼールでは16店のうちFCが4店、久世福商店では149店のうちFCが110店に上る。その理由は、地元を良く知る各地域の優良企業と組む方が合理的であり、転勤や単身赴任も減らせるという意図からだという。大前提としてFC店への教育は徹底しながら、経営資源は商品開発やDX、物流網の構築、ブランドづくりなど本部でしかできない業務に充てる。「店舗投資はFC店にお任せして卸売りに近い販路になり、投資効率が高まります。当社では投資家の方々へのkpi、ROIC、ROEも重視しており、20%以上を目指しています」(同氏)

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