半導体、自動車、ロボットなど
超高圧から微圧力まで幅広く対応
圧力計老舗メーカーの長野計器。圧力計の国内シェア首位である6割を占める。事業セグメントは4つあり、売上構成比は圧力計が約50%、圧力センサが約34%、ダイカストが約8%、計測制御機器が約5%、その他が約3%となっている。収益性の良好な圧力センサが営業利益の約50%を占める。産業別では8分野に分かれ、自動車、建設機械・産業車両・土木建設、建築・空調・冷凍機、FA・産業機械、工業計器・プロセス計装、新・省エネルギー、半導体設備、医療福祉健康産業がある。
同社は乳幼児の寝息ほどの圧力から超高圧と言われる1万㎏を超える力に相当する圧力まで、地球上に存在する圧力の計測領域をカバーする製品を保有する唯一のメーカーだ。また、圧力の計測値をより正確に確認する目的で使用する校正器・基準器と呼ばれる製品も製作しており、まさに圧力計測を極めている。
「半導体・医療・食品分野ではごくわずかな異物混入を防ぐためクリーンルームが設置されており、部屋ごとの微細な圧力差を測定することが不可欠。また各所の発電所や化学コンビナート等をはじめ、水道・ガス供給のインフラ、工場設備など、圧力計測を必要とする用途は限りなく、未来永劫なくなりません」(佐藤正継社長)
利益成長6年で4倍見通す
全社員のコスト意識向上が奏功
同社は今期から第二次中期経営計画がスタートしており、最終年度となる2025年度の目標数値として売上高753億、営業利益は97億円、営業利益率は12・9%を掲げる。2020年度の営業利益率をみると3・2%で、利益成長は6年で約4倍になる計算で、前期は9%まで伸ばしている。
「前中計はほぼ計画通りの進捗でした。利益は上振れで着地。半導体や産業機械向け製品の需要が旺盛であったことに加え、原材料の高騰を踏まえた22年7月の製品価格改定もあり、業績も良い結果が得られました」(同氏)
同社は5年程前から月次の売上・収益を全従業員にオープンにして共有するようになっている。手掛ける製品の利益とコストに関する問題意識が芽生えたことで収益改善プロジェクトが立ち上がった。社員主体で月次会議を開き、営業はお客様への価格交渉、技術は設計や代替品の提案、工場はコスト削減などを続けた成果が結実した。
第二次中計で掲げる成長戦略は四つ。①既存事業の競争力強化、②グローバル事業強化、③新たな事業領域の拡大、④経営基盤強化だ。
「①既存事業強化では圧力センサ素子の増産に注力しました。従来比で直径を半分以下にするダウンサイジングにも成功。材料費の削減効果も大きく、増産量は月産80万個から120万個を目指し、生産能力拡大のための設備強化に取組んでいます」(同氏)
また、近年、医療現場や半導体工場で必要とされる僅かな圧力差を計測する新製品をはじめ、Bluetoothとアプリを活用、ワイヤレスで圧力計測できる新製品を続々発表している。
②グローバル戦略では、海外市場向けに戦略製品を展開。圧力センサのコア部分である素子は日本生産、完成品の組立をメキシコ・中国の現地で行う地産地消を推進。現在の地域別売上高は日本が6割、世界が4割だ。生産体制を確立させ、いよいよ米・欧州を視野に入れた展開を始動する。
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