学研ホールディングス 【9470・プライム市場】

売上高は1,720億円 →780億円 → 1,850億円と完全復活
M&Aを武器に戦略投資して業績V字回復

事業モデルの大胆な変換により、ここ15年で大きく業績を回復させ、見事に蘇ったのが学研ホールディングスだ。M&Aを武器に戦略投資を行い事業拡大し、かつての出版事業主体モデルから、教育分野と医療福祉分野を2本柱とする複合経営の会社に変身を遂げた。この改革によって、今から15年前の2009年にピークの半分以下となる780億円まで落ち込んでいた売上高は、24年9月期には1850億円を見込み、文字通りのV字回復を遂げている。さらに今後は海外事業を3本目の柱に育てる方針。これによって売上高は30年に3000億円を目指す計画を掲げており、より一層の成長が期待出来そうだ。
学研ホールディングス-宮原 博昭

宮原 博昭(みやはら ひろあき)

社長

1959年生まれ、広島県出身。防衛大学校卒業後、貿易商社を経て、86年に学習研究社(現学研HD)に入社。学研教室事業部長、執行役員、取締役を経て2009年に取締役に就任。その後、学研塾HD、学研エデュケーショナル、学研教育出版の代表取締役を兼任。10年12月、学研HD代表取締役社長に就任。

M&Aを武器に戦略投資して業績V字回復

教育と医療福祉で売上二分

学研といえば、ある一定の世代から上の人々には小学生向け学習雑誌『学習』『科学』や教材、教科書、図鑑などを発行している学習系出版社として知られている。実際、創業から50年近く、出版物とそれに関連した学習機器や教材、視聴覚用品などが売上の大半を占めていた。

だが、今年で創業77年を迎える同社の現在の姿は、そうしたイメージとは大きく異なっている。教育分野と医療福祉分野の2本柱による経営だ。

現在、同社は教育分野の「学習教室・学習塾」で拠点数国内トップクラス、医療福祉分野の「サービス付高齢者住宅・グループホーム」でも施設数ナンバーワンの実績を持つ。2024年9月期の見込みでは、売上高1850億円のうち教育分野が920億円、医療福祉分野が870億円と売上をほぼ二分している。

もちろん祖業である出版事業も行っているが、現在のこの事業の売上高は年間265億円で、全社売上高の約14%を占めるにすぎない。その意味では、従来の出版社というイメージとは全く違う企業に生まれ変わっているのだ。

国内海外グループ107社

同社グループは、プライム上場企業の学研ホールディングス(HD)を筆頭に国内海外併せて107社(連結75社)で形成されている。

教育分野では学習塾経営の市進HD(スタンダード上場企業)、同じく学習教室・塾経営の学研塾HD、出版・コンテンツ事業をメインとするGakkenの3社が中核企業。医療福祉分野では、サービス付き高齢者住宅運営の学研ココファン、グループホーム運営のメディカル・ケア・サービスの2社が中心だ。

事業拠点数は、まず教室が1万8696、塾が919、高齢者住宅が550(1万6219室)、子育て支援施設が81などとなっている。海外でも、ベトナム、タイ、トルコ、シンガポール、マレーシアなどで、出版、教室・塾、人材育成、などの事業を展開している。M&Aを進めて連結経営を広げてきた結果、連結ベースでの従業員数は正社員9440人、全従業員数では2万8000人を超す。

有料会員限定

続きを閲覧するには会員登録が必要です。
すでに会員の方は
ログインして閲覧してください。

ログイン 会員登録 SEARCH