買取サービスのネット集客で国内トップクラス マーケットエンタープライズ 【3135・プライム市場】

主力事業に再投資で利益率向上へ
26年売上高300億円・営業利益20億円目指す

マーケットエンタープライズは、買取サービスのサイト「高く売れるドットコム」の運営会社だ。他サイトとも合わせた問い合わせ件数は年間60万件にも上り、「ネットから『モノを売りたい』という声を日本で最も集めている会社」と自負する。同社事業のようにモノを二次流通させる動きは「リユース」と呼ばれ、この市場規模は近年拡大の一途にある。そうした中、同社では営業利益率向上のため主力事業への再投資を実施。2026年6月期において売上高300億円、営業利益20億円を目指す。
マーケットエンタープライズ-小林 泰士

小林 泰士(こばやし やすし)

社長

1981年生まれ。埼玉県出身。2003年に東洋大学工学部を卒業後、ベンチャー企業勤務を経て、04年から乾電池のリユース事業を開始。06年にマーケットエンタープライズを設立し、代表取締役社長に就任(現任)。21年から一般社団法人日本リユース業協会副会長。

買取サイトを約30種類にわたり運営
メディア事業、モバイル通信事業も展開

同社は「ネット型リユース事業」、「メディア事業」、「モバイル通信事業」の3つのセグメントで構成されている。

主力であるネット型リユース事業は、総合買取サイト「高く売れるドットコム」や自社販売サイト「ReRe」の運営、農機具の買取販売(マシナリー)、地域のリユースショップが加盟する集客ポータルサイト「おいくら」の運営からなる。高く売れるドットコムでは、家電、楽器、オーディオ、パソコンなど、品目ごとの買取サイトを約30種類にわたり展開している。

▲高く売れるドットコム

メディア事業では、通信、モノの売買や修理などといった情報を発信するウェブメディアを8サイト運営。メディアで掲載しているサービスを提供する企業に送客し広告収入を得るビジネスモデルと、自社のサービスに送客するオウンドメディアの役割を果たしている。

モバイル通信事業では、高速モバイル通信サービス「カシモWiMAX」やNTTドコモのLTE回線を利用したMVNOサービス「カシモ」を提供している。同事業では年々契約件数は増加しており、24年6月末現在で、回線数は10万件超を数える。

同社の2024年6月期の売上高は190億800万円。内訳はネット型リユース事業が58%、メディア事業は3%、モバイル通信事業が39%を占める。ネット型リユースのサービスにおいては引っ越しや断捨離などのシーンで利用されることが多く、また、モバイルのサービスは新生活を送るユーザーが多いという。共通するのはユーザーの生活の転機に携われることにあり、両サービスを掛け合わせて利用する顧客も一定数存在する。

売上比率が示す通り、稼ぎ頭であるネット型リユースのサービスにより業界での地位を確立してきた同社。創業期は、使い捨てカメラに組み込まれた乾電池を仕入れて、格安でリユースするというニッチサービスを行っていた。

「まだ使える電池が廃棄処分されてしまうのはもったいなく、環境負荷も大きくなってしまう。そのような電池が再び使われるよう、日本一安く買うことができる『格安電池ドットコム』を立ち上げました。現在も当社企業理念の中に『WinWinの関係が築ける商売』という言葉を掲げておりますが、会社設立期からの思いは今も変わっていません。社名にも込めた通り、新しい市場を冒険的に創出していける企業グループとして発展できるよう目指してきました」(小林泰士社長)

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