遠藤製作所 【7841・スタンダード市場】

鍛造ゴルフヘッドのニッチトップ
人工関節や航空機分野にも進出

時価総額100億円以下の企業群から、編集部が発掘した実力派ニッチトップ企業を紹介する。遠藤製作所(7841)は、金属加工を地場産業とする新潟県燕市に本社を構える、創立73年の老舗メーカーだ。鍛造技術と金属朔性加工技術を強みとし、ゴルフクラブのヘッドやOA機器用の金属製シームレスパイプにおいて国内トップシェアを獲得している。同社では時代の変化に合わせて事業を進化させてきた。現在は人工関節などの医療機器や、航空機部品、自動車・自動二輪車・農機具の部品など、幅広い分野のものづくりに携わっている。
遠藤製作所-渡部 大史

渡部 大史(わたべ たいし)

代表取締役社長

1967年生まれ。新潟県燕市出身。90年東京理科大学工学部卒、サッポロビール(現サッポロホールディングス)入社。14年に恵比寿ワインマートへ出向、取締役総務部長に着任。17年遠藤製作所入社。顧問、取締役副社長兼タイ駐在室担当、経営企画部担当を経て、18年代表取締役社長に就任(現任)。

鍛造技術強みに事業多角化
燕市とタイに製造拠点置く

遠藤製作所のセグメントは、売上の48%を占めるゴルフ事業、同44%の鍛造事業、同7%のメタルスリーブ事業で構成されている。

流通するゴルフクラブには、鍛造と鋳造の2種類がある。そのうち、アイアンにおいて主に中・上級者向きとされる鍛造ヘッドの割合は10~20%。同社はアイアン鍛造ヘッドのうち国内8割のシェアを獲得している(鋳造を含めたアイアン全体では2割のシェア)。競合は台湾・中国のメーカー10社ほどだ。主力のゴルフ事業には、新事業である医療機器・航空機器部品の製造も含まれる。医療機器はチタン製の大腿骨用人工関節を製造しており、新たに膝用の人工関節の製造技術開発にも着手している。航空機はエンジンブレードを製造している。いずれも次の柱として力を注いでおり、23年度は投資を本格化する。

鍛造事業ではエンジン部品のコンロッド(※1)やミッションギアなどの製造を行なっている。売上高64億円の構成比は、自動車70%、農機具18%、二輪11 %。世界の自動車産業が集積するタイに製造拠点を設置しており、日系メーカーを中心に米国メーカーにも採用されている。

メタルスリーブ事業は、独自開発した薄肉加工技術をベースにしている。10m(0・01mm)の継ぎ目がなく柔らかな超薄肉パイプやリングをスピニング加工(※2)により製造。日本や欧米で特許を取得しており、国内OA機器用金属製シームレスパイプでトップシェアを獲得している。

2022年12月期の業績は、売上高が前期比15・8%増の145億8200万円。営業利益は同0・7%増の18億5100万円で着地した。セグメント別売上高では、ゴルフ事業が前期比16・6%増、鍛造が同18・6%増、メタルスリーブが同2・7%減。コロナ禍以降活況となっているゴルフ市場と、タイで堅調に推移する自動車関連市場により、追い風を受けたかたちだ。

 

(※1)エンジンのピストン運動によって生まれたパワーをクランクに伝える部品
(※2)板材を回転させながら工具を当てる加工法

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