シャノン 【3976・グロース市場】

メタバース用途拡大
中計最終年度は最高益を目指す

シャノンは2000年に設立、24年10月期を最終年度とする中期経営計画では、売上成長率+営業利益率の合計で40%以上の成長を目指している。

長期的に収益に貢献する
サブスクリプション売上を重視

中村健一郎社長

同社は4つの事業を展開する。売上高の半数以上を占めるのが、企業のマーケティング業務の課題を解決するマーケティングオートメーションサービス等を提供する「サブスクリプション事業」。その他、イベントのシステム支援を行なう「イベントクラウド事業」、DSPサービスや広告運用代行サービスを行う「広告事業」、メタバースイベントのプラットフォームシステムを提供する「メタバース事業」である。各事業共に、2021年12月に策定した中期経営計画の修正を22年12月に行なっている。メタバース関連事業を手掛ける子会社ジクウ社の売上計画を大幅に引き下げたことで、他のセグメントも調整がかかった。

事業間シナジーで事業規模拡大
メタバース事業も将来的な柱へ

事業内容、中計の修正の中身を詳しく見ていく。
「サブスクリプション事業」は、「SHANON MARKETING PLATFORM」などのサービスを提供。システムの年間利用契約に関する売上などで構成される。安定収益の基盤だが案件ベースでは受注獲得コストが当該受注から獲得する単年度収益を上回る先行投資型ビジネスである。成長フェーズの同社では累積した収益源を活かしつつ中期的な成長を加速するため積極投資を行っている。24年10月期の売上高目標を34億7000万円から、29億5000万円に引き下げた。
「同事業は順調に成長しており、新規案件の引き合いも多いが、過年度のサブスクリプション事業の新規獲得ペースやZIKUを提供するメタバース事業の進捗遅れを踏まえて、PL的なバランスをとる判断をしました」(中村健一郎社長)

祖業である「イベントクラウド事業」は、企業の展示会やプライベートショーなどのシステム支援を行なう。イベント開催前から当日までフルサービスで提供。今では定番となっているバーコード付の名札を、日本で初めてサービスとして量産したのが同社だ。同売上高を10
億6000万円から6億3000万円に修正している。
「今後のリアルイベント市場の動向は不透明さもあるため、保守的な計画に修正しました」(同氏)
「広告事業」は、22年に後藤ブランド社を子会社化したことで、サービス領域を拡大している。好調な市況感やクッキー規制による市場の変化を受けクッキーレス型の広告を展開するなど成長余地もある。同売上高を1億7000万円から5億2000万円に上方修正している。

次なる収益の柱を目指す「メタバース事業」では、ジクウ社がバーチャルイベントサービス「ZIKU」を提供する。マーケティング活動は順調だが22年度の進捗状況に鑑みて、同売上高を20億円から4億6000万円に修正した。

全体の同営業利益は、6億7000万円から2億9000万円に下方修正しているが、上場以来の最高益予想だ。「成長に対する投資の率も収まっていくので、その分利益も出しやすくなる見立てです。現実的にメタバースの活用シーンも拡大している」(同氏)

同社の重要指標はARRだ。24年10月期は、22年10月期比44%増を目標としている。

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