電設資材の「雑材」メーカー 未来工業 【7931・プライム市場】

現場の声生かしたオリジナル商品で高利益率
社員一人一人が考え発言できる企業風土が魅力

未来工業は、電気設備資材の開発・製造・販売を手掛けるメーカーだ。電設資材のなかでも「雑材」と呼ばれる製品に強みを持ち、特に木造建築用の「スイッチボックス」では約6割のシェアを誇る。同社は配当性向50%、営業利益率12%以上、ROE8%以上の指標を織り込んだ中期経営計画を2023年4月に発表し、今年初めに株価が一時3倍近くに高騰したことで注目された。今年6月に就任した中島靖社長は、現在売上の約7割を占める非住宅分野での事業にさらに注力したいと話す。
未来工業-中島 靖

中島 靖(なかしま やすし)

社長

1965年生まれ、岐阜県出身。87年、名古屋学院大学経済学部卒業。同年に未来工業に入社。2013年経営企画部長、14年取締役経営企画部長、19年常務取締役を経て、24年6月に代表取締役社長に就任(現任)。

前期は業績過去最高
商品数は2万点

建物内には電気コンセントや、コンセント・照明スイッチの裏で配線を接続する役目を果たすスイッチボックス、エアコンの配管ダクトなど、電線や器具を安全にきれいに配置するための細々とした「雑材」が使われている。雑材メーカーは数多くあるが、未来工業のように雑材のみでプライム上場を果たしている企業は珍しい。

同社の2024年3月期の売上高は前期比11・4%増の440億9100万円、営業利益は同81・3%増の73億3200万円。プラスチックなどの原材料の価格上昇を受けて全面的な価格改定を行ったが、製品需要の高さから値上げは市場で受け入れられ、過去最高の売上・利益に寄与した。その結果、16・6%という高利益率を実現している。

セグメント別でみると、電気配線を保護するための管・部材・ボックス類などの「電材及び管材」が77・4%と主力。スイッチやコンセントなどの「配線器具」が15・5%、省力化機械及び樹脂成形用金型・データセンター事業など「その他」が7・1%となっている。

同社が扱う商品は全カテゴリーで2万点に上り、その数は同業他社と比べても圧倒的に多いという。例えばスイッチボックスは、2階建ての平均的な広さの木造家屋では平均60~70個が使われる。しかし、その95%は5種類ほどで対応できるため、他メーカーで取り扱うのは通常5~30種類ほど。しかし同社は、スイッチボックスのみで約100種類ものラインナップを持つ。

「どんな現場でも通常品では収まらないケースが必ずあり、通常品を加工する必要が出てきます。そんな時、加工なしでぱっと使える施工性の高い製品があれば、結局時間も手間も人件費も節約できる。職人さんには『困った時は未来工業のカタログを開くと大抵ある』と言われます。オリジナル商品は他社より2~3割高い場合がありますが、よく売れています。これが高利益率を支えています」(中島靖社長)

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