100円ショップ業界二位 セリア 【2782・スタンダード市場】

自社開発の発注システムで効率化を追求
〝100円のみ〟を維持して独自性貫く

2023年度、100円ショップ市場は初めて1兆円を突破した。寡占化が進み、大創産業(非上場)、セリア、キャンドゥ(2698)、ワッツ(2735)の大手4社の店舗数は過去10年で1.5倍に増加。30年度までに国内累計1万店規模に到達するとみられている。一方、円安や人件費、物流コスト高騰の影響を受け、近年は各社とも収益面は悪化。対応策として100円以外の商品を増やすなど、市場自体は大きな転換期を迎えている。そんな中で、唯一「100円のみ」を維持しているのが業界2位のセリアだ。その要因は同社河合映治社長自ら開発した「POSシステム」の「ビッグデータ活用」にある。
セリア-河合 映治

河合 映治(かわい えいじ)

社長

1967年9月生まれ、岐阜県出身。90年同志社大学を卒業後、大垣共立銀行入行。2003年5月、セリアに入社。同年6月に常務取締役、05年に経営企画室長に就任。14年、代表取締役社長に就任(現任)。

全国2000店舗を突破
23年度売上は過去最高更新

100円ショップ「セリア」を運営する同社は、2023年度に直営店・FC店の合計が2000店舗を突破。24年3月期の売上高は前期比5・1%増の2232億200万円で過去最高を更新した。一方で、これまで営業利益率10%台を維持し、業界でも突出した高水準の利益については、前期比2・1%減の151億2100万円、売上高営業利益率は同0・5%減の6・8%となった。

河合映治社長は、営業利益率が6%台にまで下がっているのは、2つ要因があると分析する。

「4%下がったうちの2%は円安によるもので、今後もこの状況は変わらないと思います。もう2%は人件費の高騰ですが、こちらは改善の余地があります。おそらく2~3年で緩やかに回復し、これまでの10%は無理だとしても、8%台には戻ると考えています」(河合映治社長)

コロナ禍以降業界は好調に転じ、各社の店舗が増えたことで、1店舗あたりの売上が減少、利益率が低下した。また他社は100円以外の商品を強化してきたことで、100円商品自体の競合が少なくなってきたと言う。

「今、業界全体で約9000店舗あり、当社の2000店舗を除くと競合が7000店舗あります。その中で、競合の売場面積の約20%は100円以外の商品になっています。単純に考えても、競合での100円商品の面積が7000店×0・2割で1400店分落ちていますので、競争緩和に働いていると感じています。他社は1個100円で売っていたものを200円、300円にし、客単価で売上を取っている。その分当社には、100円商品を求めるお客様の流入があるという形になってきています」(同氏)

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