ハイエンド市場における放電加工機の世界トップ ソディック 【6143・プライム市場】

「脱中国依存の時は今」赤字で転換期
ストック事業・新製品強化で利益体質へ

ソディックは「世の中にないものは自分たちで作る」をモットーに独自製品を作り続け、現在は放電加工機や射出成形機、食品機械など幅広い製品群を持つ工作機械メーカーだ。海外売上比率が約7割のグローバル企業であるが、前期は中国事業の不振が響いて赤字転落。再起をかけ、脱中国依存を念頭に置いた体制再構築を進める。また、これまで弱かった保守サービスを強化する他、強みの製品開発も推進。安定して利益が出せる会社へ脱皮を急ぐ。
ソディック-古川 健一

古川 健一(ふるかわ けんいち)

社長

1972年生まれ、神奈川県出身。99年ソディック入社、2007年トム・ソディック取締役社長。08年ソディック取締役。常務取締役、副社長などを経て、18年代表取締役社長就任。24年代表取締役兼CEO社長執行役員(現任)。

「電気で金属加工」のパイオニア

同社の2023年12月期売上高は671億7400万円。内訳は、「工作機械事業」が約7割、「産業機械事業」と「食品機械事業」がそれぞれ1割強を占める。

主力の「工作機械事業」で約9割を占めるのが、祖業でもある「放電加工機」だ。放電加工機とはその名の通り、電気による火花を用いて金属を溶解・加工する工作機械のことだ。かつて、金属はドリルで削りながら加工するのが主流だったが、放電加工機であればより複雑な形状や精密な加工が可能となる。ソディックは、1976年に世界で初めてマイクロ・コンピュータ付きNC形彫り放電加工機を開発。現在、ハイエンド市場における放電加工機の世界シェアはトップを誇る。

「産業機械事業」は、放電加工機の納入現場から生まれた事業だ。放電加工機は、主に自動車やスマホなどの部品の型となる「金型」の製造現場に使われる。放電加工機で精度の高い金型ができても、金型から製品を作る際に使われる「射出成形機」の精度が悪いと、製品の質が落ちる。こうした不満を吸い上げ、ソディックは89年に同製品を開発。高精密で安定した成形が特徴で、大手企業から引き合いを受けている。

「食品機械事業」は、主に製麺機や米飯製造装置などを手掛ける。同事業は、2007年にM&Aで参入。工作機械と産業機械は景気の波を受けやすい特性があるため、売上の安定基盤とすべく、比較的安定した需要が見込める食品分野に進出した。

主力の放電加工機には、機械を数値情報でコントロールする「NC装置」や、加速性能を左右する「リニアモータ」、絶縁に使われる「セラミックス」など多様な素材が使われる。多くの競合がこうした素材を外注する中で、ソディックはこれらをすべて内製している。

「当社は電気加工の技術、機械設計の技術、ソフトウェアの技術、ハードウェアの技術、これらをすべて併せ持つ会社です。自社で技術を持っていれば、『こういう性能が欲しい』と声が上がった時に自前でセラミックスを足したり、リニアモータを改良したりとお客様の要望に応えられます。また、素材を外から買うよりコストを抑えられ、価格競争力でも優位性を保てます」(古川健一社長)

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