「電気で金属加工」のパイオニア
同社の2023年12月期売上高は671億7400万円。内訳は、「工作機械事業」が約7割、「産業機械事業」と「食品機械事業」がそれぞれ1割強を占める。
主力の「工作機械事業」で約9割を占めるのが、祖業でもある「放電加工機」だ。放電加工機とはその名の通り、電気による火花を用いて金属を溶解・加工する工作機械のことだ。かつて、金属はドリルで削りながら加工するのが主流だったが、放電加工機であればより複雑な形状や精密な加工が可能となる。ソディックは、1976年に世界で初めてマイクロ・コンピュータ付きNC形彫り放電加工機を開発。現在、ハイエンド市場における放電加工機の世界シェアはトップを誇る。
「産業機械事業」は、放電加工機の納入現場から生まれた事業だ。放電加工機は、主に自動車やスマホなどの部品の型となる「金型」の製造現場に使われる。放電加工機で精度の高い金型ができても、金型から製品を作る際に使われる「射出成形機」の精度が悪いと、製品の質が落ちる。こうした不満を吸い上げ、ソディックは89年に同製品を開発。高精密で安定した成形が特徴で、大手企業から引き合いを受けている。
「食品機械事業」は、主に製麺機や米飯製造装置などを手掛ける。同事業は、2007年にM&Aで参入。工作機械と産業機械は景気の波を受けやすい特性があるため、売上の安定基盤とすべく、比較的安定した需要が見込める食品分野に進出した。
主力の放電加工機には、機械を数値情報でコントロールする「NC装置」や、加速性能を左右する「リニアモータ」、絶縁に使われる「セラミックス」など多様な素材が使われる。多くの競合がこうした素材を外注する中で、ソディックはこれらをすべて内製している。
「当社は電気加工の技術、機械設計の技術、ソフトウェアの技術、ハードウェアの技術、これらをすべて併せ持つ会社です。自社で技術を持っていれば、『こういう性能が欲しい』と声が上がった時に自前でセラミックスを足したり、リニアモータを改良したりとお客様の要望に応えられます。また、素材を外から買うよりコストを抑えられ、価格競争力でも優位性を保てます」(古川健一社長)
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